otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

林の青い星と金平糖


■追分にはほぼ一ヶ月遅れで春が来る。あたりが一斉に花盛りになるのは、あたかも春の訪れの祝いのようで、とても満ち足りた気分になる。
落葉した木の多い林は、今だけ日差しが地面まで届き、今こそわれの番ということで咲く花には不思議と藤紫色の花が多い。すでにホトケノザムラサキケマン、カキドオシ、タチツボスミレについては触れたが、これらの花は東京でも公園などで見ることができるが、藤紫の花の中でも私が早春の山林で一番会うのを楽しみにしているのは、このフデリンドウ。春に咲くリンドウだ。私は林の青い星と勝手に呼んでいる。土筆が地面から突き出てくるのと同じように、フデリンドウも地面から突き出てきて、つぼみは筆を洗ったときのように先を閉じており、丈も数センチ、葉色もささやかなので見つけにくいが、日がさしている間のみぽっかり星型に開き、その高貴な青みがかった藤色に会うことができる。
あたりに緑が噴出して林が緑に染まる頃には、いつの間にかいなくなってしまう。

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東京のアパートでは足場をはずす、かんかんかんという音があたりに響き渡っている。いよいよ籠から出ることができそうで、嬉しい。窓を大きく開けたい季節になった。予報より遅く東京の天気は夜から荒れ模様に。追分は荒天の一日で早々に店を閉めたらしい。

★追加:番頭氏のブログによると、追分では霰が降ったとか。ヒマラヤハウスさんの「森暮らし日記」に写真が載っているので見て欲しい。本当に霰が積もっているのだ。標高が高いとこうなるわけだ。部屋の中にいれば高みの見物だが、屋外にいると怖いだろうなあ。これでも今年は小粒な方らしい。
「森暮らし日記」にヒキガエルの泣き声の話が載っていて、これが実にいい話。土の中に帰っていったというが、ヤマネさんが言うようにヒキガエルはこの天候の豹変を察知していたのではないか。
ちょっと暖かかったとしてもふらふら手ぶらで出かけてはいけないのだ。備えあれば憂いなし。