otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

富士見に始まり、終わった日

otobokecat2007-01-15

以前の勤務先の担当教授の最終講義に伺うことなり、久々に朝から出かける。
大学までは色々な行き方があるのだが、三年間通った道がいいかと思い、西国分寺経由で武蔵野線を使うことにする。これまたかつての習慣だが、JRに乗るとすぐに進行方向左側のドア脇に立ち、今だけしか見えない前方の富士山を探す。今日は快晴で予想通り真白き富士が見えてほっとする。

西国分寺の乗り換えは比較的簡単だから好きだ。がらんとしたホームにまもなく「東所沢行き」が入ってくる。これだとひとつ手前までしか行かないが、なにしろすいているので、私は「西国分寺」で次を待たずにこのガラガラ電車に乗っていき、「東所沢」のホームでぼーっと次が来るのを待つのが常だった。今日もちょうど「東所沢」行きがきたのでのった。遠くまで乗る人はおそらく座りたいので「西国分寺」で次を待つのだろう。

「新座」で下車。女子大が二つもあるので、くだり階段は女性客が溢れている。高いヒールの靴をはいているので、パコンパコンとうるさいのだ。この中をいつも遅刻気味で、人並みを押し分けて歩いていたっけ。今日は3・4限目の授業なので歩きにゆとりがある。

いやあそれにしても駅前の変わったこと。まだまだマンションが建設されている。私が通勤に使っていたころは辺鄙な駅だったけど。バスもとおりに出ないとなくて不便きわまりなかったけれど、いまやバスのロータリーまであるではないか。久々に歩いて行く事にした。天気もいいし、15−20分ぐらいだったはず。もっともあのころはバスを待ったり歩くのに疲れて、院生に譲ってもらった自転車を使ってぶっ飛ばしていたのだが。

今日は変わらない住宅地をゆっくり歩く。そしてあの時と同じ庭先で蝋梅に出会う。空き地になってしまったところもあったが、おおむね家並みは変わらなかった。そうそう梅は夕方から香るということを知ったのもこの通勤路だった。

キャンパスについてびっくり、立派な建物がなんと新たに三つも増えている!新たな学部ができたのだ。今日の講義もスライドを使うので設備の整った階段教室を使う。椅子もふかふかで映画館のよう。これ居心地よすぎない?学生獲得にここまでするか?とちょっと驚く。恵まれすぎ!!

講義が終わり、懐かしい顔に出会い昼の会食に誘っていただき、話が弾む。近況報告として古本屋の宣伝をすると、みな一様に驚く。食事の後再びキャンパスに戻り、事務室でお世話になったSさんを訪ねて少しお話させていただく。Sさんは追分に山荘を持っておられるのだ。話していると次々色々な人や本などの縁がつながってくるのが面白い。

帰りは東武東上線の「志木」駅まで歩く。相変わらず雑然とした駅前の風情。
池袋、新宿を経由して中央線に乗ったころには太陽が赤く燃えて沈んでいき、後にはオレンジに染まった空に台形の富士のシルエットが浮かんでいた。一筆書き思い出の通勤路の一日は富士見で始まり、富士見で終わった。