otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

野におけ、鳥も花も

otobokecat2007-11-11

■夏の「追分探鳥会」の様子

毎日新聞書評に中西悟堂のことを扱った本が出ていた。先日店にいらした日本野鳥の会の西村氏は中西悟堂の研究家でもあり、中軽井沢にある中西悟堂の碑にも寄って帰られた由。中軽井沢・星の温泉の奥には、国設野鳥の森がある。

野の鳥は野に―評伝・中西悟堂 (新潮選書)

野の鳥は野に―評伝・中西悟堂 (新潮選書)

日本で始めて「探鳥会」が行われたのは、昭和9年で、その時の記念集合写真に写っている顔ぶれは凄い。柳田国男内田清之助金田一京助・春彦、荒木十畝北原白秋、窪田空穂ら34名。野鳥といえばカスミ網猟が横行していた時代に、自然破壊に警鐘を鳴らし、鳥、特に「渡り鳥は地球規模生活者である」という着眼点は素晴らしい。鳥の棲家である山河を守ることが、人間、地球を守ることに繋がると説いた。それから70余年、果たして今はどうだろう?
 追分散歩も「探鳥会」が専らの目的ではなく、さりげない道端の花や昆虫や、野鳥を目を留めながら歩くことで、何かを感じたり、考えたりしていただけたらと思うのだ。実のところ我々も、追分にいながら、店にかかりきりでこういうことでもないとなかなか散歩をすることもないまま、季節が行き過ぎてしまう。自分がまず歩く時間を確保したい、欲を言うならば、自然の達人と歩きたいと願ったことが始まりだった。
今年は初年度とはいえ、本の執筆や鳥絵塾主催で多忙を極める谷口高司さんに、三回〔5月・8月・11月〕も追分にお越しいただいたことは、本当に有り難かった。五感を使いながら散歩すると、いろいろなものが見えてくる。また店に戻って、散歩を振り返ったり、伺った鳥にまつわる話なども興味深かった。いつでも見ることの出来る鳥もいれば、遥々海の彼方から飛来してくる鳥もいるのだ。人間様はナビゲーターという超便利な〔持ってないがどうもそうらしい)道具を使っているが、鳥はあんなに小さな体で国境などものともせずに(当たり前だが!)数千キロの渡りをしてくるのだ。飛ぶ鳥の姿に学ぶところは多い。

来年度もまた引き続き、コロニーの名前に相応しく本を巡るさまざまなイベントを計画してみたい。

●谷口さんの著書の一部
新・山野の鳥 (野鳥観察ハンディ図鑑) “タマゴ式”鳥絵塾―水彩色鉛筆で楽しく野鳥が描ける

絶滅危惧種・日本の野鳥―バードライフ編レッドデータ・ブックに見る日本の鳥

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