otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

嵐の後に

otobokecat2008-07-27

9時に通行止めとなるので、我々としては珍しく早朝から活動開始。
朝から真夏の太陽が照りつけるなか、昨日までに番頭N氏が準備してくれたセール用の10箱を二階から運び下ろし、汗だくになる。
本日は100円均一で、6冊500円ということに。一部スペシャルの3冊100円もあり(状態の悪い良本)。
10時からブック・カフェ内では番頭N氏と荒井さんが恒例の月一エコセミナーをやっていたので、午前中の外の市はセミナー講師の荒井夫人にお手伝いいただいて、二人でのりきる。追分宿でこんなに人間を見ることができるのは、一年で今日のみ!店番しながら、その珍しい人波を見物する。
またもや「ふるほん」の暖簾を出していても蕎麦屋と間違われたが、中には今年も楽しみにしていたというお客様もいて、毎年続けてやることで、少しずつ「村の古本屋」という存在をアピールしていくことができるかなと思う。
他の店を覗きに出かけていく余裕がないのだが、浅間神社に設置したスピーカーからは、随時案内が流れてきて、ブラスバンドや子ども御輿、かっぽれ、チンドン屋、馬子唄道中〔嫁入り行列〕などが旧道を練り歩いていくのを見ながら、店番ができるというわけだ。特等席なり。手作りろうそくを売りに来た小学生から、お菓子のようなろうそくを買った。
メインの馬子唄道中の前に曇り始め、天気が持つかちょっと気をもんだが、なんとか行列終了の三時までは降雨は免れた。新婚のお二人が嬉しそうだった。
   
三時で旧道の歩行者道路は解除され、引き続き浅間神社で演芸大会が続く中、三時半あたりから霧が巻き始め、四時一気に掻き曇り、突風と大雨と雷とが一時に始まり、祭り気分は吹っ飛んだ。
この時点でお客様はゼロ。店頭を撤収し、窓をすべて閉めて、我々は店に篭城。一時間嵐の如し。まさにバケツをひっくり返したような大雨で、庭の裏手は一気に水浸しに。風が凄く提灯も吹き飛ばされそうだった。
五時で店を閉めようとしたところに、常連さんが雨宿りに転がり込み、急遽店は続行。珈琲をお出しして、濡れた頭に巻くのに手拭いと洋書を数冊をお買い上げ頂いた。
六時に閉店した頃外へ出てみると、嵐は行き過ぎ、人っ子一人いない旧道には、嵐が運んできた土砂や木の葉が散乱していた。
さすがにくたびれて、御代田で外食して国道18号線を帰宅する途中、道の行く手〔軽井沢方面〕にそれは見事な虹が出現し、そのあまりの綺麗さに助手席でバチバチカメラのシャッターを押していたら、車が何台も路肩に車を停めて、下りて携帯カメラで虹を撮影していた。誰しも思わず車を停めてシャッターを押したいと思うぐらい見事な虹だった。
写真には到底納まりきれなかったが、子どもの絵に出てくるような180度の分度器のような完全な形で、しかもくっきり鮮やかな虹の本物を、私は生まれてこの方見たことがなかった。しかも二重だった!

感激覚めやらぬ状態で帰宅したら、今度は北西に恐ろしいほど綺麗な夕焼けが始まりつつあり、すっかり浮かれていたら、なんと家は停電。しかも隣近所は点いている模様。ブレーカーかしらと懐中電灯を見つけるまもなく日がみるみる暮れ始め、暗くてよくわからなくなり、中部電力に泣き付き、携帯電話で指示を仰ぎようやく復旧した頃には、鮮やかな夕焼けはほとんど消え去っていた。
でもあんなに鮮明な虹が見られたのでヨシとする。

堀辰雄芥川龍之介片山広子らと分去れで見事な虹を見たという文章があったが、それを読んだとき勝手に分去れから西〔御代田方向)に虹が見えたという状況を想像していたが、もしかしたらそれは私の勘違いで、今日のように夕方の雷雨の後なら、西日によりできる虹は東の空に見えるわけで、つまり軽井沢方向に虹がでることになる。夕方であったかどうかは定かではないが、雷雨は大体午後に起きるものだ。こんな些細なことを大発見のようにひとりで興奮してしまった。
嵐の後の林の夜は、静まり返っている。