otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

GAME is over !

冬季五輪の華といえばフィギュアスケートの女子シングルスだと思いますが、ついにそれも終わり、二月の日々がカレンダーから滑り落ちていきます。7の倍数:28日しかないので、2月1日と同じく3月1日もまた月曜日ですから、何時に無く朝早く起きて峠を下り市場へ行ったりどたばたしている間に、新たな月が動き始めてしまいます。
もっとも現在の暮らしは、サラリーマン時代や子育てをしている時代と違って、月末とか月初めとか意識しないでも生活できます。カレンダーを捲り忘れるとか、クーポン券の締め切りが終わってしまうというぐらいです。ごみにしても収集場所に持っていくという現在は、以前のように今日は可燃物を家の前に出す日だとか、ごみ置き場の掃除当番だといった、頭の中に常に生活のスケジュール表が浮かび上がっていないと困るということもありません。
さて、フィギュアスケートの女子シングルスのテレビ観戦は、久々の全国的な行事だったのではないでしょうか?前回荒川静香選手が金メダルを劇的に取ったこともあり、また今回、いまだに金メダルだけ取れていないので、ほとんどの人が「金」への期待を募らせていただけに、日本中が浅田選手が「銀」に終わったことの落胆が隠せない様に感じられます。
実は私は「銀」が取れて良かったと思っています。
試合前に荒川静香さんがインタビューに答えて「これはゲームなんです」と言ったその一言が印象的でした。キム・ヨナ選手のプログラムはその点で勝っていると思いました。プログラム構成、選曲、振り付け、表情、衣装の面でゲームに勝ちに行っていたように思います。おそらくオリンピックで勝てなかったコーチの経験が活きていたのでしょう。それとこのブライアン・オーサーはカナダの人で、キム・ヨナはカナダで練習していたんですよ。舞台にも十分慣れ、開催国にも溶け込んでいたと言えるのでは?
浅田選手がショートプログラムを終えてうまくいったと本人も会場も大いに沸いていた際、キム選手は照れ笑いかもしれませんが、にやりとしたのです。私はあの顔を見た時、その自信と余裕に恐れ入りました。案の定、彼女は自分のお気に入りの007を演じきりました。キム選手の二つのプログラムは、トリプルアクセルが無くてもどうやったら点が稼げるか、力が発揮できるかを計算しつくしたプログラムだったと思います。緩急が巧みにに取り入れられており、浅田選手の4分間フルパワー全開のプログラムとは成功率、見ている側の印象もだいぶ違います。浅田選手が完璧に滑れば、勝てたかもしれませんが、あの舞台で100%を出すことは不可能に近いと思います。トリプルアクセルを三回決められたのは素晴らしいし、歴史に残る快挙ではあります。カーリングのスーパーショットのようなものです。でもゲームには勝てなかったと言うわけです。きらびやかなフィギュアスケートといえども、やはりスポーツだということなんですね。観客を味方につけるという要素も含まれるのが、このスポーツの特異な点かもしれません。その意味から行くとカナダのロシェット選手はまさに地元の利と直前に起きた不幸があいまって、非常に有利でした。
日本選手の中では、鈴木明子選手が選曲や舞い方で、もっとも観客の心を味方にしていたように見えました。アメリカの長洲選手もまた自分の世界をしっかり持って、自信が前面に出たパワフルな演技でした。
荒川さんの4年前の勝利が今さらながら凄いと思いました。トリノの開会式で『誰も寝てはならぬ♪』が歌われた時に運命は決まっていたかのようにさえ思います。
とりあえずこのゲームはお終いです。でも浅田選手も悔しい!と強く思うことで、きっとまた伸びて行くに違いありません。『鐘』を変えなかったこともひとつの道です。トリプルアクセルを3つとも成功させたことは素晴らしい。メダルを取ると言うこととは別の価値があると言うことです。
「銀」だって凄いということにも、きっとあと30年ぐらいたったら気がつくでしょう。わたしがコーチだったら、間に穏やかで華麗なスローパートを入れたか、全部重くするならいっそのこと浅田選手に強烈なメイクをして夜叉のような顔(マスク)にすることを勧めたかも。ま、「たられば」はいけませんね。
うるさい外野ですみません、35年ほど前に一回転するのがやっとだった元スケーターには、トリプルアクセルなんて神業以外の何者でもありません。着地に成功したのは凄すぎる。ひたすら尊敬します。日本に三人全員が入賞する時代が来るなんて!ジャネット・リンに見とれていた札幌五輪からは想像もつきません。
ただ、オリンピックと言う舞台は世界選手権とは違うわけで、4回転をしたプルシェンコさえも金メダルが取れない場所なんですから。
やはり「ゲーム」なんだなと感じます。

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