otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

建物の力

otobokecat2013-10-08

ホンモノ市直前ではありますが、油や有志5名で、中之条ビエンナーレへ物見遊山へ一泊してきました。ビエンナーレに参加している志村陽子さんは、実は今年の油やオープニングのインスタレーションを受け持ってくださった作家さんでもありました。すぐ隣の県でアートを使って建物・地域を活かしたイベントをしているということで、次回というと二年先ですから、この際見てみようということになったのです。
月曜の夕方、先発隊三人が油やを出発して四万温泉入り、神奈川の市場に行った番頭は直行、猫町ギャラリーの撤収担当のB氏はシンガリということで、ばらばら現地合流作戦。
先発隊は旅館のチェックイン締切が6時ということで、暮れなずむ浅間高原をひた走り、灯りの灯った温泉街にはいると、折から秋祭りの宵祭りが始まっているところに入りました。四万川の水音と「千と千尋の・・・・」の湯屋のモデルになったという積善館の赤い橋がそこにあり、初めてなのに妙に懐かしさを感じさせながら、転げ込んだ我らを温かく迎えてくれました。

この赤い橋を渡って積善館に入ったところあたりから、中之条というエリアの空気にすっと溶け込んだような気がしました。ぎしぎしという館内の廊下を渡って、洞窟のような連絡通路をくぐり、エレベーターを乗り継いで、上層のお風呂に入りに行ったり、ドアを開けるとそぐ浴槽というアーチ窓がメランコリックな元禄風呂があったり、レトロな電話ボックスや、電燈のクラシックな明かりも。志村さんから建物に満月が写っていますよのご連絡あり、外へ出てみると建物に本当にでっかい月が建物に映写されていました。

翌朝は朝食をとった後、贅沢に猫町珈琲を部屋で一杯ご馳走になって、荷物をまとめ、まずは館内にあるビエンナーレの見物から開始。
今回はビエンナーレパスポート、一泊二食、4つの温泉入り放題で6300円という破格の待遇でした。
とかく朝食後チェックアウトして、昼ごろから夕方まで閑散としがちな温泉街が、ビエンナーレ開催のおかげで、町に客が終日滞留して、昼食・土産物などの需要もあり、積善館さんはビエンナーレを大いに歓迎しておられる感じでした。
9:30にはボランティアスタッフが各会場に到着。30数箇所の会場のお世話をするのは容易ではありません。地域全体でこのイベントを支えていると実感。
一日しかいられない我々は駆け足で見て回りましたが、広範囲でびっくりでした。様々な展示がありましたが、一言でいうなら展示を盛り上げたのは会場である建物の力が大きかったと感じました。
これは油やでの活動をするにあたり、大いに参考になることでした。
歴史ある温泉旅館、古い学校校舎、材木商のお屋敷、酒造酒蔵、商家など古い建物の場合は、その歴史がまるで人の皺のようにその場所の時間の蓄積がそこの場所の誇りになっているようでした。建物の力は少なからずありました。大いに驚いたことに、火曜日という平日にかかわらず、行き先々の会場にたくさんの人が訪れていたということでした。パスポートのスタンプラリーが終了しそうな人も。

尚、ビエンナーレは台風26号来襲直前に撤収され、無事会期を終えられたようです。皆様お疲れ様でした!