otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

字で伝えること

毎月20日が書評の締切日。
短い文章ではあるのだけれど、やはり決まった字数で人にものを伝えるということは難しいことです。でも締め切りに追われることで、集中してものを考えることができるので、月一回ならばいいかもと引き受けています。まあ訓練のようなものです。
毎年やはり夏は戦争のことを考えます。お盆があったり、終戦記念日、広島・長崎の慰霊の日がある夏の最中だからこそ、8月後にはそれを意識した本を選びたいと思います。今年は尚のことです。
「あらしの前」「あらしのあと」(ドラ・ド・ヨング作 吉野源三郎訳)を久々に読みました。岩波少年文庫ではなく、箱に入った岩波の上製本でです。
作者はナチスが攻めてくる前まではオランダに居て、その後アメリカに渡り、祖国オランダのことを児童文学として書いたのです。迫ってくる戦争前と、その後を心配した読者によって促されて戦後を書いていたという成り立ちも興味深く、児童文学という形を借りて、「生き抜く」ということの大事さを子供たちに伝えたいということを成し遂げている本なので、これを選びました。