otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

虫たちの世界

 9月にはいって、私の所属する市民環境団体で、プロのナチュラリストの佐々木洋(ささき・ひろし)さんにお話を伺う機会があって、そこで、私の長年のなぞがひとつ明らかになった。
 そのなぞの正体は、「アオマツムシ」。
 都会でも秋ともなると、エンマコオロギのちょっと物悲しい声や、綺麗なカネタタキの声を楽しむことができるが、ここ数年、虫の音が木の上から聞こえてくることがとても気になっていた。私は、小さいころから結構虫とか、めだかとかが好きで、エンマこおろぎやカナブンを飼っていたこともある。虫オタクではないが、わりと虫には関心があるほうだが、木の上の虫の声は、いったい何がないているか見当がつかなかった。木の上からする結構うるさい虫の声を聞いたことはありませんか?

 佐々木さんの環境の変化の現象のお話の中に、この「アオマツムシ」が登場した。こおろぎの仲間だが、みどり色らしいが、外来種で、中国から材木のなかにタマゴで入っていて、日本へ来たらしい。特徴は一生を木の上で過ごすこと。木の皮の中に住み、葉を食べて、木から木へ飛んで移動して、しかも桜が好きということで、つまり現代の都会の中で、生きていくことができるこおろぎ。
 しかも彼らは、ほかのなく虫をやっつけているのだ。草食だから捕食するのではなく、そのけたたましい声で。都会に草むらはどんどんなくなり、こおろぎやバッタは住みにくくなっている。それでもわずかな生息地で頑張っているけれど、繁殖のために雄が雌を呼ぶ声が、この騒々しい隣人のために、聞こえなくなってしまい、繁殖できないというわけ。
 なんとも迷惑な客だった。このお話を聞いたあと、ある夜「アオマツムシ」の声に遭遇したが、本当に騒々しく、ほかの音は一切聞こえない。風流な秋の夜には似つかわしくない声だった。しかも上から降ってくる感じで、数も結構いるようだった。都会のみどりは減ったとはいえ、日本人はサクラが大好き。都会では今後はそのサクラが好きなアオマツムシの一人がちとなりそうで、虫の声に和んでいる場合ではない。

 なぞは解けたけれど、ちょっと残念な話。