otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

眠る山村

 東京のサクラは、風の強い中で結構頑張って今年は長持ちした?ので、先週末にあった入学式などにも若干の彩を添えることができた。えらいサクラ。
 堰を切ったように、つぎつぎいろいろな花が咲き、ついに欅の新芽が出てきた。私は[トトロの樹]といわれている(らしい)欅の大木のすぐ脇のアパートに住んでいる。ここ数日で、みるみるそのみどりが沸き出てきている。夕暮れの欅の枝のシルエットもまたよかったが、むくむく緑が沸いて出て、こんもりした大木もまた頼もしい。

 花盛りの街を後にして、週末は信州に出かけていた。建築中の建物の打合せが有るため。関越道を北上すると、沿線の田畑の土の色が美しい。各地に中国からの黄砂が降っているとのことだったが、それなのかどうか、遠くの山並みが白銀色に煙っている。太陽もまた、銀色光線を発している。ちょっと不思議な光景。午後の関越道下り線はガラガラ。道路沿いのサクラや、連翹、こぶし、紫もくれんが綺麗だ。サクラと常緑樹を交互に植えてあるところがあるが、サクラの薄桃色が緑に映えて綺麗に見える。上信越道に入り、雪柳が土手を飾っているところがあった。下仁田のあたりは、梅林が満開。そして峠を上がると、やがてまだ眠っている山村に入った。
 春休みが終わり、このあたりのスキー場もさすがに閉まっただろう。気温は2℃。一切の緑はここにはまだ見当たらない。おきてくるまであと2、3週間ほどかかりそうだ。そんな閑散とした中で、ゴルフをしている人もすでにいることはいる。
 
 次に来るのは4月23日と決まった。さすがにその頃にはいくらか春の気配が感じられることだろう。


  あいるらんどのやうな田舎   丸山薫

 汽車に乗って
 あいるらんどのやうな田舎へ行かう
 ひとびとが祭の日傘をくるくるまはし
 日が照りながら雨のふる
 あいるらんどのやうな田舎へ行かう
 窓に映った自分の顔を道づれにして
 湖水をわたり、隧道をくぐり
 珍しい顔の少女や牛の歩いている
 あいるらんどのやうな田舎へ行かう

 アイルランドへはいった経験のない丸山薫は、信州の片田舎に、あいるらんどを見たのではないだろうか?とふとこういう荒涼とした山村をみて、そう思った。