otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

隙のある街かもここは。

西荻ブックマークというイベントが5月13日(土)よりスタートした。
第一回の出し物は、「田中栞さんのワークショップ:本をつくる」と「穂村弘さんのトークと対談《夜中の本屋でとろけることなど》」で、私はこの日の午前中、息子の部活の保護者会だったので、夕方の対談のほうへ行って来た。(昨晩)

実はこのイベント参加は予約制になっているのだが、申込み先であるハートランドさんに、いの一番に申し込んで、まだ申込み表も作っていないのにと驚かれたのだった。地元でこういった好みのイベントが始まるのは嬉しくて、広瀬さんの奥さんが店の表にポスターを貼っている横から、申し先を聞いたのだった。程なくして満員(25名)となった。ほらね。

サインをいただけるかも?と穂村弘さんの本『本当はちがうんだ日記』をバックに入れていった。
穂村弘さんといえば『にょっ記』が有名だけれども、我々にはむしろ「おに吉古本案内#3」に短文をのせておられることで、身近に感じており、古本屋が大好きであることは明らかだった。

雨がぼしゃぼしゃ降っている、うっとおしい一日だった。
会場は、中央線高架下というちょっと騒がしい場所であったが、なにしろそこは洗練されていないこの町らしくて、しかも穂村弘さんは、この地が気に入って草加より引っ越してこられたというわけだから、ゲストにこの環境が嫌がられることもなくてすんだ。
会場は驚いたことにとても若い参加者―しかも女性が多くて、華やいだ感じだった。

穂村弘さんははじめちょっと話しづらいご様子だったけれど、柔和な広瀬さんが加わられてからは、なかなかいいムードで対談は進んだ。話すことに慣れていなくて。沈黙の時間は多くても、時にはその「間」もまた貴重である。職業柄、話す言葉は選ばれているなと感じた。


西荻関連のお話が多かったけれど、それを伺いながら、自分でもこの町のことを考えていた。

作務衣のおじさんがスケボーで飛ばしていったり、猫はそこここに居るし。
長い髪をみどりに染めて、黒コートをたなびかせ、パヒュームのいい香りを撒き散らして駅へ闊歩していく人を初めて見たときには、魔女か!と思ったら、なんと男性だったり。
宗教施設もそこここにやたらに多いらしいし、
引っ越してきても疎外感があまりないということは、
つまりこの街には「隙:すき」がありすぎなのではなかろうかと。

そこに、はまった人は、西荻礼賛だし、はまれなかった人にとっては、何がいいんだかと思う町だ、ここは。

住んでいるとわからないけれど、夜遅くまでやっている本屋の数は、ちょっと他に例を見ないのだとか。(どうでもいいことだが、最近の店に動物の名前が多いと穂村さんは言っていたが、確かに…にわとり、とんぼ、かもめ、羊…。)


トーク中に穂村弘さんが「音羽館」で買われた長新太さんの絵本も、客席へ回覧されて、質疑応答などもあり、和やかなうちに終了。


最後に、穂村弘さんの3冊の本がプレゼントということになり、「穂村弘さん」対「参加者」の大じゃんけん大会があった。
3冊とももっていない本だったのだが、私は負けた。

会が終了してから、どさくさにまぎれて、持参した穂村さんの本にサインしていただいた。しかも「音羽館」で買った本だったので、今日の記念にということで、ちゃっかりご両名にいただいてしまった。有難うございました。

音羽館」はとても良い本屋さんだ。
場所からも我々の日常生活の一部のような存在で、お付き合いはかなり長い気がしていたが、開店してからまだ5年半しか経っていないとのこと。我々はここへ来てもう13年あまりだが、はじめからあるような気がしていた。そういえばはじめの頃は、今は吉祥寺にある「よみた屋」さんだったのだ。

これから月一回イベントをやっていくとのこと、大いに結構。
北尾トロさんも現場におられたが、せっかくの満員の客に、今後のアピールを余りせずにもったいなくはなかったか??

でも、お気に入りの古本屋さんが、混みすぎるのは常連客にはちょっと困るのだが。
【本屋の常連客というのは、店主と話しこむ人とは違いますから。】
しかし、客が入らなくて店がつぶれては困るし、…うーん、難しいところである。