otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

本との出会い

otobokecat2006-05-17

たとえば高円寺の古書市に行くと、終了1時間前であっても、私を待っている本がまだ残っているのだから、やはり「行かなくては」と思うわけだ。

それにしても、関東人だからか商売魂がない。
早く帰りたいのか、5時になったとたん、そこに客がいようとどんどん片付け始める店主たち。さっきまでお煎餅かじっていたのに。

さすがにちょっと少なめだが、ゼロというわけでもなかった。来てよかった。

でも急き立てられながらの買い物は、ちょっと慌しい…。
古書市には、古書市ならではの楽しみもあるけれど、どちらかというと本との出会いは、ぶらっと入った店で棚にならぶ本の林から、一冊の本を抜き出すその瞬間がいい。
抜き出しやすい本棚の詰まり方があって、ぎっしり入り過ぎていると、すっと出てこない。よい古本屋の開店時の棚は、棚の手前に本が揃ってならんでいるんだそうだ。客が本を出し入れすると、本の整頓が崩れる、その出入りの跡から本屋は多くを学ぶという。


■最近の購入本の中から:

  • 堀辰雄 杜甫詩ノオト』(内山知也/編 木耳社 昭和50
  • 随筆集 遠くのこだま』(福永武彦/著 新潮社 昭和45
  • 『ヨーロッパ鉄道旅行(Ⅱ)西ドイツ』(植田健嗣/著 保育社カラーブックス 昭和60
  • 『梅干しの秘密』(牛尾盛保/著 かのう書房ゴリラブックス 1983
  • 中国茶と茶館の旅』(平野久美子 他/著 とんぼの本新潮社 1996
  • 『香港飲茶読本』(菊地和男/写真・監修 コロナブックス平凡社 1997
  • 京菓子』(赤井達郎/著 平凡社カラー新書82 1978

堀辰雄 杜甫詩ノオト』は、堀辰雄に興味がある人にしか、意味のない本かもしれないが、私には結構面白いものである。
 中が小冊子二冊になっており、『堀辰雄 杜甫詩ノオト』は、堀辰雄の全集に納められていない未完成の「支那古詩」に、若干手を加えたもの。高橋七郎画伯の挿絵が趣を添えている。多恵子夫人のひとことがついている。
 『堀辰雄 杜甫詩ノオト 解説』の方は、この原稿に興味を持った内山知也氏の解説となっている。わずか44頁だが、氏のお骨折りとこれを出版した意気込みは随所に感じることができる。
 私の一番興味を持ったところは、辰雄がノオトに青鉛筆などで囲ったり、記入した言葉たちの記述。―「野老」「南楼」「客至」「落日」「江亭」など。