otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

「たまでん」に揺られて

otobokecat2006-06-01

 昨日、都立砧公園で区民引率の自然観察会があった。お手伝いに行くつもりが所要でだめになったが、手元の印刷した資料を届けがてら、「用賀駅」までのこのこと出かけた。車で近くを通りかかったことはあったが、電車で行ったことはなかったので、物見遊山気分。(正直のところ、昨日までの東急電鉄株主優待券があったのだった。へへ)
 渋谷で、危うく東横線の改札に入りそうになる。慌てて田園都市線へ。「用賀」は各駅しか止まらない。初めての場所に行くのは案外気を使う。
 改札出たところで参加者の集合の事務を手伝い、皆を公園へ送り出してから、踵を返してまた電車に乗る。思い立って、途中の三軒茶屋で下車。世田谷線の終点だったということを思い出したのだ。私は京王線上北沢駅の近くに住んでいたので、世田谷線といえば「下高井戸」である。世田谷線はかつて(私の小さい頃は)「たまでん」と呼ばれていた。何度も乗った事はあるが、端まで乗った事はなかったので、三軒茶屋は初めて。
 田園都市線世田谷線の駅は案外離れていた。誘導にしたがってしばらく歩き、ビルの谷間にある駅に着いたら、ちょうど電車の出た後だった。せっかく来たのだからとあたりをうろうろ…近代的な建物と、昔ながらの住宅街・商店街が混在した面白い町。駅の近くに世田谷区出先の区民センターのようなものがあったので入ってみると、芝居を見せる演劇用のシアターだった。住民票などの発行のできる窓口やインフォメーションセンターがあって、横のギャラリーでは佐渡の「鼓童」の展示があった。見たら、アースファニチャー佐渡という企画の家具を展示しているが、これがなかなかいい。成長に合わせて伸びる学習椅子や机、積み上げると棚になるベンチなど。デザインもさることながら「地産地消」という提案にも同感。
 寄り道してから、ようやく世田谷線に乗り込んだ。たしかついこの間までは、バスに載るようにひざを高く上げて乗り、中は床が油のしみた木製で、古くて狭くて暗くてだったような…(まさかそこまでは古くないかな)?ところが今は?やけに綺麗。床も低床だし、椅子は進行方向向きで、窓側に一人用のみだから通路がとても広い。昼ごろは立っている人がいないということは、座席の数はちょうどよいと言えそうだ。
 出発してみると、途中降りないという安心感と、そのゆっ・っくりの速度にすぐにリラックスムードへ。もちろん興味はしんしんできょろきょろ。
 駅に到着すると運転手さんと車掌さんのいるドア以外が下車用。乗る人は、140円を料金箱に入れるか、壁の機械に定期のようなものをピタッと押し当てていた。
 沿線の家々は線路から手が届くほどの近さで、裏庭や軒先を行く感じ。洗濯干しやプランターがすぐそこに並ぶ。踏み切りの「かんかんかん」という音が懐かしい。一番驚いたのは、環状7号線の道路を横断するということ。車がズラーーと並んでいる中を、のこのこと突っ切るのはなかなかの気分であった。
 あっという間に終点。やたらに背もたれが直角!すぎたこと以外は、至極快適な電車の旅だった。これで通勤通学していたら、性格が変りそうだな。


●今日の写真:いよいよ名残のパンジーと盛りのミニバラと森からのお客様(嘘です):きのこさん。

■今日のお供:『旅行者の食卓』(米原万里 文春文庫 2004)……AB OVO