otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

猫とねずみ

otobokecat2006-08-14

 我が家の猫は雉トラで、縞模様が一部ぼけており、つまりもっとも山猫に近い毛色をしている。体型も顔が小さく細めで、人前になかなか姿を見せないので、これは野性の血が多いからだと勝手に判断。ものすごいジャンプ力や、たかいところが好きという趣向も、やっぱりねと思っていた。狩猟も得意で、昆虫は一発でしとめて食べてしまうし(不食も一部ありだが)、鳥、ねずみ、モグラといった犠牲者は後を絶たない。その残務整理は私の仕事となっているが、最近は生け捕りなので、これがまた大仕事となっている。

 信州の山荘に二週間いくことになり、しぶしぶ猫を車に積んで持っていった。旅するトラねこということで、本名:「トラベル」なのだが、夜の移動はきらいなので、まあ騒々しい道中ではあった。(詳細省略)

 彼女が山に行くのは一年ぶりぐらいだが、記憶力はよく、地形や、家の中の間取り、ご飯・水のありか、トイレの場所、どの窓が出入りに使えるかといったことはちゃんと覚えている。
 山にきたせいか、ますます野生が目覚め?昼間は押入れ奥深くで寝ていて、夜中に出ていく。
 ある日「帰ったコール」のにやあの声がちょっとこもっていると思ったら、案の定お土産をくわえていた。最近は生きのいいままつれて帰るので、口から離れた瞬間、ねずみはそそくさと本棚の下に潜り込んだ。いちど帰京していた私が到着する時間だったので捕り物ができず、亭主は本棚の下の三方をガムテープで貼って、中に閉じ込めたまま私を迎えに来て、私は着くなり捕り物が初仕事となった。担当者はつらい。恐る恐るテープを剥がしながら覗くが、生き物の気配もない。懐中電気の向こうには、おがくずのような木屑?が散らばるのみ………。

 どうやら、逃げられてしまったらしい。さて大変。我が家には積んだ本が林立しており、これを齧られては大変、何とか捕まえなくては。それにしても、ベルは悠々としていて、ねずみと同居しているとはとても思えない態度で、探す当てもない。もしかして窓から逃げたのかしらと思っていた矢先、ベルが、台所の床にどてっと横たわった。めったにしない行為だ。彼女の目線の先には、ご飯の器が並んでいる。その器の中に黒い毛玉があるではないか!!ねずみ!が器に入ってキャットフードを食べていたのだ。なんとそれを彼女は手も出さずに、じっくり眺めていたのであった。向こうを向いていて、食べるのに夢中でねずみはこちらに気がついていない。
 部屋の中に入った虫をとるために用意してある昆虫網を持ち出して、捕獲作戦実行!われに返ったねずみが、するするっと逃れていく。われわれも見逃しては大変と、部屋中這いずり回り、ようやく網をかぶせることに成功したが、へとへとになっていた。目のくりくりしたかわいい地ねずみだった。
 夜の庭に放してやったら、かさかさ音をたてて、あっという間に闇に消えていった。
 
 なぜベルは、家の中で生きたねずみを追い回さなかったのかが謎のままだ。情が沸いてしまったのか。野生の強い猫といえども、三食昼寝し放題の彼女には、ねずみはもはや餌ではないということなんだろう。だったら、家に連れ込むのもやめてください。それともさびしいのかしら。

 ベルの生家でも、飼っているハムスターには三匹の猫たちは手を出さないという。しかも最近の珍事だが、檻から逃げ出してしまったハムスターの「あずき」チャンを探し出して、飼い主の元へ連れてきてくれたのは猫だったという。ありえないような本当の話。

 ニコルの「ウイスキー・キャット」という話があるが、誰でもこのお勤めができるわけではないらしい。

 後日、本棚の本をすべてどかして、本棚をずらしてみたら、そこにはねずみの工事の後が本棚裏と壁に歴然とできていた。木屑とともに糞もたくさん落ちていて、早速掃除するはめに…。まあ、敵も必死だったのだろう。
 逃がしてやることができてよかった。いつか恩返しでも??