otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

時代の光弱き今だから…

otobokecat2006-11-29

数日前、キャロル・キングの最近のCDを買った話を載せたが、その後気に入ってしばしば聞いている。驚くべきことに以前より迫力がある。連れ合いは師匠の影響か吉田拓郎のCDを聞いて唸っている。ともに60台の往年の大スターは、最近あまり騒がれなくなってはいたものの、それぞれにわが道を歩き続けて今がある。流されることなく続けてきたその持続力が光となって輝きだしているように思う。
追分からの帰りの車の中でラジオを聴いていたら、いい声の歌手らしき男性が出てしゃべっている。やたらに70年代やギターに詳しい、なんとチャーであった。ゲストに金子マリ!も出てきた。特に贔屓筋というわけではなかったが、今となっては懐かしくてずっと聴いていた。てっきり彼も60歳ぐらいかと思いきや、50だという。同い年!ではないか。彼はなんと中学生あたりからもう走り出していたのだ。どうりですこし先を行っていた。スタジオでギターをじゃんじゃん弾いたりして、そのギターの上手いこと。金子マリも相変わらずのしゃがれ声で、ふたりならではの歌を披露した。彼らもまた光を放っているかに感じられた。

ひとまとめにしては申し訳ないが、作り上げられたり、祭り上げられたりしたものは、やがて飽きられ疲れて消えてゆくが、必然性によって続いてきたものはなくなりはしないということなのだと思う。

昨日の「古本:夜の学校」においても、荻原魚雷さんがこれに通じることを呟いておられたようだった、(というのも、彼は書かれる文章とはだいぶ違って、実にぼそぼそと曖昧なしゃべり方をされる方で、マイクを使ってもまだ声もかなり小さいのだった。)

毎日新聞(夕刊)で近藤勝重さんがこういう時代だからこそ、藤沢周平の小説が人気なのは無関係ではないと思うと記している。なるほど、そうかもしれない。地味でも貫き通す強さが光となって輝いてくる。そうしたら、ほんつなのメルマガにこの本が載っていた。

●読んでみたい一冊:『藤沢周平未刊行初期短篇』

著者名 : 藤沢周平
出版社 : 文藝春秋 出版年 : 2006.11
ISBN : 4163255206
税込価格 : 1,800円 ページ数 : 549P  判型 : B6

内容(「BOOK」データベースより)庄内藩の抗争に材を得た歴史短篇『上意討』、男女の哀しい運命を描いた悪女もの『佐賀屋喜七』、藤沢周平、幻の短篇書庫の片隅に眠っていた無名時代の未刊行作品十四篇。四十年の時を経て今、甦る。

藤沢周平未刊行初期短篇

藤沢周平未刊行初期短篇