otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

妖精のすむところ

石井桃子さんの本棚■

エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする (大型絵本)

エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする (大型絵本)

石井桃子さんは、イギリスの詩人・作家;ファージョンと関わりが深い。『りんご畑のマーティン・ピピン』『ムギと王さま』など、ファージョンの代表作はみな石井さんが訳している。
この『エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする』は、『ヒナギク野のマーティン・ピピン』の中の一編を絵本化したもの。28cmx25cmという大きな絵本を広げると、ヴォークの伸びやかなペン画の中にちりばめられたおはなしが動き始める。いつのまにか、絵も言葉も踊っている。
なわとびが大好きな女の子エルシーという主人公がまず登場する。7歳のときに縄跳びのうまい妖精に見出され、修行をさせてくれて、秘技を伝授されるが、面白いことに、短い綱で跳べる小さい間だけは、教えてくれたように跳べるが、新しい綱になったら、もうそれはできないというのだ。
大人になったエルシーはいつしか縄跳びはしなくなっている。
三日月の晩にケーバーン山で村の女の子が縄跳びをするというというファンタスティックな風習〔エルシーが作った〕の有るのどかな地域にも、開発をたくらむあこぎな領主が現れる。静かな村が絶体絶命!なところで、おんなこどもが縄跳び大会で領主に挑戦する。最後の一人が力尽きてしまったところに、109歳の老婆となって小さくなったエルシーが現れ、あの短い綱を持ち出して跳び続ける。エルシーの秘術が最後に領主をとっちめ、山に平和が戻るというお話。

様々な跳び方の名前:「高とび」「するりとび」「羽根のようなするりとび」が出てくるのだが、最後のは心配ごとははねとばせとび!」。 是非、この跳び方をみてみたいものだ。

エルシーは今でもケーバーン山で跳び続けているそうだから、三日月の夜に行ったらば、見られるかもしれない