otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

草木の力

otobokecat2007-05-25

高崎市染料植物園で『山崎青樹草木画展 草木絵の具で描いた世界』という企画展をやっていて、6月3日までなのでなのだが、今回カーテンLioの佐々木さんが案内してくださるというので、万難を排して駆けつけた。一度訪れてみたい植物園だった。いつも通過はしているが高崎で降り立ったのは今回が初めてだが、新宿から湘南ライン特別快速高崎行きに乗り、乗り換えることなく、麦秋の小金色の波のなかを電車はひた走り、一時間40分後に高崎に降り立った。新書に目を落としながらも、座席が電車スタイルなので乗り降りする人々や、車窓の様子が気になり、あっという間だった。
旧軽井沢の草木屋は私にとっての軽井沢の店の代名詞のような存在で、かつての近藤長屋にあった夏の店に祖母のお供をして行くのを楽しみにしていた。和紙などとうてい使いこなせない子供ごころに、オミナエシや、フシグロセンノウの版画の和紙の便箋や絵はがきを買うことは憧れだった。和紙で出来たホタルブクロの版画のついた素晴らしい封筒に入れて貰って、ちょっと大人になった気分を味わったものだ。
そのときに帳場でニコニコしておられたのが山崎青樹氏であった。数年前、古代紫の研究の様子をご子息たちとされているのをNHKTVで拝見して、その真剣な厳しいまなざしに驚いた。氏の精魂を傾けた研究者魂を垣間見た気がした。
現在は草木屋は息子さんがやっておられるが、青樹氏もまだまだお元気であるということで、おそらく84歳ぐらいになられているはずだ。
雨が滴る高崎の町を走りぬけ、町外れの護国神社の脇を上がっていくと緑の世界に。染料博物館はその山の中にある。広大な駐車場にはわずかに車が2,3台しかなかった。トラ猫くんがお出迎えしてくれた。(5/30に写真貼りました)山道を登っていくと両脇の木々に説明板がついており、この木に○○の触媒を使うとこの色になるということが丁寧に木毎に記してあった。じっくり見て歩きたい。
博物館では手書きの草木絵の具による草木画というのをはじめて見たが、なんともいえない柔らかい色とその透明感に圧倒された。
香織さんと思わずうなずいたのは、学芸員の方が示唆してくださった「自然に白という絵の具の色はない」ということで、すべて布の地色が「白」として使われている。そこに絹布の放つ怪しいまでの光りが透明感を生み出しており、ひとつだけ紙に書いたボタンの絵があったが、それと対比してみると一目瞭然。天然の力に脱帽だ。

かつてロビーを飾っていたという『榛名の朝』と『染料植物画譜』の大作ニ面が素晴らしかった。

藍が入ってくる前に水色を作り出したのはクサギの実だとか、藍は毎年植えて栽培していて自然に自生はしないことなど、学芸員の方の話も非常に面白かった。

相客もほとんどなく、雨の音、かえるの鳴き声、鶯などをバッグミュージックに貸切状態でゆっくり見ることが出来た。なんと言う贅沢だろう。しかも入場料は200円。見学後、軽井沢に御用のある「柳屋」の建築士の松井さんと合流し、松井さんの車で店まで送っていただく。こうやって寄り道して山にやってきたのは初めてだ。お二人に感謝!

続・続 草木染 染料植物図鑑

続・続 草木染 染料植物図鑑

正・続は持っているが続続があったとは!!