otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

遥かなる月は満月

otobokecat2007-11-24

青空哲学―信州水玉問答『青空哲学』水上勉玉村豊男 岩波書店1999  
―信州水玉問答とはなかなかしゃれたサブタイトルだが、同じ時期に病気をされた後、軽井沢から転居して、千曲川をはさんで北に玉村豊男〔元東部町)、南の北御牧村水上勉が住んでおられた。ふたりとも軽井沢から脱出したというところが曲者だが、どうやらそのキーワードは「土」のようだ。
土を喰う日々―わが精進十二ヵ月 』水上勉1988(新潮文庫)これは当店の常備本なり。

精進百撰 (岩波現代文庫)

精進百撰 (岩波現代文庫)

軽井沢は土と生きるにはあまりに厳しい土地である。もちろん高原野菜などは取れるが、概して葉物が多く、もともと土地が肥沃ではない。玉村氏の現東御市はサンライン〔:広域農道〕でもわかるように農作地である。一方御牧村(みまきむら)は千曲川の流域で、高麗人参の産地でもある。現在、料理研究家の山本麗子氏もちかくに住んでおられるはず。ともに軽井沢よりも実りの有る土地なのだ。よい土を求めて軽井沢を去ったお二人だが、軽井沢のよさを知っておられると察することができるのは、『青空哲学』の中のせりふで、
(M)「(軽井沢の)本当の姿は冬しかないんですよ。」
私もそのとおりだと思う。ようやくその季節が到来した。電脳暮し
この二人の凄いことは、信州の片隅に隠遁しながらも常に発信基地であり続けていること。水上勉は亡くなった(2004年9月8日没)が、晩年になってパソコンに取り組んだりもしていた。 玉村豊男は多方面にますますパワーアップしている。自分のワイナリーで作った葡萄でワインを醸造し、そのワインに自分の絵のラベルをつけて、農園付帯のレストランで、農園の野菜とともにサービスすると言う芸当は中年男性の憧れなり。しかしこの本を読むと、玉村氏が現在に行き着く所以というか、その流れがそんなに単純ではないということが見えてくる。水上勉氏にしてもしかり、そういった厚みはそうなかなかできるものではない。


夕方、夏川りみの唄う中島みゆきの「時代」がたまたま聴けた。夏川りみが歌うことで、言葉一つ一つが沁みてくる。
  今日の風に吹かれましょう〜♪
こんなにしみじみとこの歌に聞き入ったのは夏川りみの「声の力」あってのことに違いない。あるいは、私が中島みゆきが歌うとなんとなく構えてしまうからなのかな。なんとなく戦闘的な雰囲気があるのだから。〔ごめんなさい)
それにしても、ミュージックフェアが宵の口にあるとは知らなかったなぁ…。

最近の土曜夜のお楽しみは「SP」なり。
N少年と二人打ち揃って、うんうん唸りながら観られる番組というのは珍しい。