otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

訪ねたかった店

otobokecat2008-04-22

■法明寺参道→


所用があれこれあるものの、これから始まる連休を前にカレンダーと相談してみると当分上京できない見込みなので、独りで一泊二日で東京へ行ってきた。番頭N氏が西(松本)へ出掛ける時間に正反対の東に向かう。

今日は素晴らしく晴れ、浅間山もくっきり見え、気分はつらつと言いたいところだったが、18号線の軽井沢方面は朝の通勤渋滞だ。西部小学校の校門脇の待合場所のベンチに腰掛けて待ちぼうけていると、前を黄色いヘルメットを被った小学生たちが渋滞の国道の歩道を次々に登校していく。中には熊よけの鈴までつけている子がいて、さらに月曜日なので体操服や、給食袋をランドセルにぶらブラと下げて物々しい登校風景だ。このあたりだときっと遠くから歩いてきている子もいるのだろうなぁ。通学だけでも大仕事だ。

やがて西武バスが、連なった車列からすっと逸れてきて、目の前で止まった。予定時刻7:46はとっくに過ぎていたが、ひとまず乗り込めてほっとする。軽井沢を抜けたらバスは順調に走り出したが、この遅れはなかなか縮めることができなかった。バスは安くてよいが渋滞に弱いのが難点だ。持ってきた朝食代わりのサンドイッチをぱくつきながら、東京へ着いてからのスケジュールを練る。やらねばならぬことがてんこ盛りなので、リストを作り、回る順序を考える。
さぁそろそろ所沢あたり、東京も近しと言うところで、バスは突然減速し、掲示板になんと「通行止め」の文字が!運転手さんの「通行止めになったので、所沢で降ります。池袋着はかなり遅れます」とアナウンスがあり、ため息が乗客から漏れた。何で通行止めなのか理由もわからない。おまわりさんも出ているのでどうやら事故渋滞らしいが、通行止めとはよっぽど大事故?
みるみるすべての車は車線を左に移し、目前に迫る所沢の出口への連絡道に殺到し、所沢インターチェンジを出るだけでかなりかかった。10人ほどの乗客は、それぞれ一斉に携帯電話で連絡をとり始めた。
私は誰とも午後予約をしていなくて良かったものの、結局1時間半遅れで池袋に到着した。エアコンの効いたバスから降り立つと、東京は陽気がやけによく、タートルネックなど着込んだ私は汗だくとなった。朝雪山を見ていたりした私は、服装計画を間違った。
あれやこれや用事を片付けながら、手荷物はどんどん増え大荷物になったところで指の医者に行くと、玄関に入るなり「すごい荷物ですねぇ」と言われてしまった。

夜は実家に泊めてもらう。
翌朝、腰の具合がさえない父と外出練習として近所を散歩など。老化の一種だろうが、歩くのが難しくなると篭りがちになるが、屋外が気持ちのいい季節となってきたので、せめて散歩をして欲しい。早歩きの父は、杖をつきながらも早足で、私より先にすたすた行く。性分は直らないものだ。

今日は授業がない少年Rのところへ向かい、事務打ち合わせ等のあと、高校へ提出するものがあるとかで、卒業後母校に初めて出掛けていった。私は親らしく?下宿を若干掃除など。冷蔵庫にたまごや野菜室にブロッコリーや長ネギが入っている。自炊も頑張っているらしい、やるね君も。鍵を閉めて西荻まで歩く。途中、信愛書店に引っかかる。本屋のない街から来ると、こういう店の存在が羨ましい。

今回どうしても訪ねたかった店が二軒あり。
一軒は時計屋さん。西荻にある「玉宝堂」さんの店先には、レトロな時計が沢山飾ってある。引越しの際、他店で修理を断られた木製の壊れた置時計がどうしても捨てられず、直感でここなら直してくれるのではと思い、荷物奥深くに押し込んであったのだ。それを今回掘り出して持参した!
職人肌のおじさんは二つ返事で修理を請け負ってくれて、30分で直してくれると言う。修理をしてくれる時計屋はいまはなかなかなく、遠くは九州から修理を依頼されると言う。運賃が修理代より高いんだよとおじさんは笑った。捨てずにおいて良かった。

もう一軒は前々から行きたいと思っていたがなかなか機会がなく行けなかったの雑司が谷の「旅猫雑貨店」。
http://www.tabineko.jp/shop_info.html
今日は火曜日で開店のはず、池袋18:15発のバスなので、それまでの時間を使って今日こそは!と早めに池袋に降り立ち、行き方の紙を握り締めてテクテク歩く。途中の家並みのなんとも味のあること。都電の線路を渡り、きょろきょろしながら憧れのお店に辿り着いたら、窓越しにか猫(金子)さんの姿を見つけた。ついにきました。
思っていた通りの素敵な店だった。店内に溢れる味のある雑貨の数々にすっかり時を忘れた。なんというセンスのよさ。追分にもこんな店があったらなあ。(桜味の美味しいお茶をご馳走になり、お喋りにもお付き合いいただき、か猫さん有難うございました。)実はとぎ猫さんに頼みたい柄の壊れた包丁を二本もバッグの底にしまってきたのだ。(かばんの底に包丁を二本も持ち歩く怪しい女でありました、職務質問されなくて良かった)
池袋も一歩中に入ると時が止まったようなところがあるのだ。元気なおばさん達と猫がうろうろする雑司が谷は、誰にとっても懐かしい、ずっと残って欲しい街だった。
17:30頃我に返り、高速バス停への道を教えてもらって店を後にする。うっすら夕焼け空の下、都電が明かりをつけて行き交う時間になった。。
葉桜の境内からお寺(法明寺)の脇の小道(失礼!参道?)を行く、角を曲がるたびに少しずつ時間が進み、私はついに現実の世界へ戻ってきた。
夥しい数の人間がネオンサインの谷間の横断歩道をどっと渡っていく。
タイムスリップしたような数時間だった

始発なので今回は定刻にバスは発車し、まもなく日は暮れた。復路は渋滞も、事故もなく、真っ暗な信濃追分に予定よりはやく到着した。

■命拾いした時計と旅猫雑貨店で見つけた「都の水中花」