otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

空を見上げて歩いていこう。

otobokecat2008-06-18

一度収まりつつあった風邪をぶり返してしまい、とても東京へは行けなかった。

梅雨の最中とは思えない日差しのまぶしい一日。
蝉時雨の中で、沢山の方に惜しまれて、天空へ旅立たれたであろう貴女のことを思った。

すっかり乾燥した暖かな林の中へ、ときおりウスバシロチョウが不規則な飛行線を描いて消えてゆく・・・。
あんなにはかなく見えて、ウスバシロチョウは敵なしだから大胆だ。

麦門冬湯を飲みながら、寝たりおきたりの一日となる。枕の横にあれこれ本を積んで、あれこれかじり読みして気晴らしをしてみたが、一番効果があったのは『ランゲルハンス島の午後』〔村上春樹安西水丸)だった。店でも大判・文庫ともに何冊も売ってきたが、この一冊は古本散歩を初めたころに渋谷で手に入れた一冊で、まだそのときの店のラベルもはがさないままで、私の本棚に入っているものだ。
凄く久しぶりにめくってみたが、あっという間に村上春樹の小気味よい文章と、安西水丸のシャープラインと鮮やかな色の絵の絶妙な組み合わせに引き込まれていた。カンフル剤となったか。
ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫) [ 村上春樹 ]新潮文庫版のほう

気温の落差が激しい一日だった。日が暮れるとみるみる夜気が降りてくる。どうやらまた梅雨が戻ってくるようだ。震災後の作業をしている人にも、避難している人にとっても災いの雨にならなければ良いのだが。せき止められた水が、川が、暴れなければいいが。痛めつけられた地域に、これ以上に被害が広がらないことを祈るのみ。