otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

モリスの夢見た日々へ

otobokecat2008-07-06

先週水曜日、隣町の御代田にあるメルシャン(なぜか軽井沢)美術館で開催されている19世紀イギリスの芸術家であり思想家であったウイリアム・モリスの展覧会へ行ってきた。ステンドグラス関連の展示があることが、比較的珍しかったものの、残念ながらちょっと寂しい展示内容だったが〔もう少し一つ一つの展示の解説が深いとよりよかったかなと)、三月にケルムスコッド・マナーの佇まいを見てきたので、以前見た展示とはまた違った印象を得ることができた。
すでに会期終盤だったが、水曜日という平日で空いていたのは幸いだった。都会の展覧会とはここが大違い。ゆったり静かに楽しめ贅沢なひと時だった。
ステンドグラスに関しては、典型的な欧米の文化なので正直よくわからないが、色ガラス上に書き込まれたデザインはまさにモリスの得意とする草木の柄で、ステンドグラスにおいても背景の地模様があるのだと言うことを知った。
テキスタイルでは、当時ないがしろにされつつあったインディゴ染色を取り入れており、モリスのテキスタイルが日本人に人気が高い秘密の一つは、これではないかと思った。つまり藍染めの手法と似通っている。工程にこれが入ることで、色彩に独特の陰影が生まれ、その色合いは日本人にとって親しみやすいのではないだろうか。草木花や、鳥、小動物などのスケッチから生まれたデザインの素晴らしさが人気の秘訣であることは勿論だが。
壁紙は木版によるもので、以前テレビでその木版が今でも修理しつつ残されて、まだ使われているという番組を見た記憶がある。手仕事と言うにはすでに相当次元が高い。そのモチーフ、色合いが自然を手本としており、永遠に古びることのない完成度の高いものだと思う。
個人的には私は『柳の枝』という壁紙がシンプルながら一番気に入っている。
展示されているテキスタイルや壁紙の緻密な連続模様の細かさ、凄さに少々酔ってしまって、白昼の建物の外に出た。ここは元ウイスキーの蒸留所で、貯蔵庫では何年も樽熟成が行われていた。敷地の木立の中にこれらのいくつか大きな建物が点在して、その建物がこんもりキヅタに覆われている。地面は苔むし、裏手からは浅間山も見えて、良いところだ。

展覧会『モリスの夢見た日々』の会期は7月13日〔日〕まで。
[rakuten:book:12940029:image]←当店新刊コーナーに有り〔1冊〕

■追分駅前にホタルブクロとオカトラノオ

■栗の花が咲きました。雨上がり、独特の香りがあたりに充満しています。