otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

どんぐりが,降る

otobokecat2008-09-06

ついにどんぐりが降ってくる季節になった。小道を歩いていると、小粒のどんぐりがビシバシと頭上から降ってくる。葉をつけて落ちてくると、羽のようにゆっくり落ちて来るが、どんぐりだけがはじかれて落ちてくるようになり、あられのようにトタン屋根などに当たると大きな音を立てる。地面に突き刺さらんばかりの勢いで落ちてくる。
例年、屋根に降ってくるドングリのビシッという音に驚かされることがあったが、それはまだ聞こえないなと思っていたが、そのコナラの木は昨秋の竜巻のような台風のときに、倒れてしまっていまはないのだった。
あれからちょうど今日で一年経つ。まだたった一年だが、ほとんどの倒木はすでにきれいに片付けられ、草木は以前より日が当たるようになりますます伸びて、薄情なもので被害のひどさをもう忘れつつある。

今日は、番頭N氏が夏休みをとったので、夕方四時まで独りで頑張った。
ありがたいことに思いのほか来店者が多く、東京の神保町N書店さんがご旅行中に寄って下さり、新人としては大々汗をかく。その数時間後にそのN書店さんに勤めていた女性がみえ、あれま社内旅行かと思ったら、単なる偶然とのこと。番頭N氏がいないため、追分駅までお送りするわけにも行かず、遠路はるばる来ていただきただただ恐縮する。

今日は夕方4時から、ごんざさんで真崎隆治先生のサン=テグジュベリ星の王子さま』についての講演会があり、交代のN氏と入れ替わりにそちらへ出かける。25名ほど集まった。
本を読んでいくという宿題が出ていた。いろいろなところから様々な訳が出ているが、どれも難解であるには変わりなかったが、中では倉橋由美子訳が一番馴染みやすかった。小学生高学年で初めてトライしたが、そのときは勿論岩波書店版の内藤濯訳だったが、記憶に残ったのは「ウワバミ」だけだったと言う情けなさであった。それから何回かトライしては挫折して、通読したのは久しぶりだった。
レジメのある講演会は緊張したけれど、真崎隆治先生の解釈は実に面白かった。そういう解釈の仕方が有るのかと、正直驚いた。勿論深読みしなくても、作品を純粋に楽しめるならそれはそれでよいが。
あえてここには書かないが、今日の謎解きを踏まえてもう一度読んだら、すっと入ってくるかなという感じがしている。戦時下の文学には様々な思いがこめられているのだと言うことを改めて思った。

倉橋由美子氏にとってはこの『星の王子さま』の訳が遺作となった。

新訳 星の王子さま

新訳 星の王子さま

  サン=テグジュペリ星の言葉 (だいわ文庫) [ アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリ ]
夜間飛行 (新潮文庫) 
人間の土地 (新潮文庫) これを読まなくては。
飛行機を操縦するという経験が一つのキーではないかと思う。