otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

古駅はちゃんと

 
左:上りホーム端っこから軽井沢方面(上り)を見た図と
右:小諸方面(下り)次は御代田(みよた)

郵便局にいく用があって、店番があけてから追分駅まで(駅前にあるのだ)。自転車で行けば早いのだが、帰りがずっと上りなので押して歩くことになり、往復歩くことにしたのだ。あいにく昨日は山は見えなかったので、追分駅前からの山の写真撮影は望めないのもわかっていたが、それでも私はこの無人の古駅がなんとなく気に入っていて、30分x2歩くのもそんなに苦にはならない。郵便局へと言うよりも駅に向かって、キノコ撮りをしながら歩く。

ホームに沿った道を下り始めて、一箇所ホームの端に入り口があるのに気がついたので、そこからちょっと入ってみる。信濃追分駅は、今は第三セクターしなの鉄道の3両編成の電車が停車するが、かつて信越本線の特急・急行も停車していた駅であるので、その名残でホームはかなり長い。しかし軽井沢寄りに改札口があるので、電車はそのあたりに止まり、小諸寄りのホームは現在まったく使われていない。使われていないコンクリートのホームには、月見草やクサフジ、猫じゃらしがはびこっていた。

■上りホーム真ん中あたりから(過去の写真より)

クサフジと紅葉したエノコログサ
信濃追分駅は夏季以外は無人駅で、駅の清掃や植栽などはボランティア団体が行っている。サクラソウやおみなえしなどの野草が植えられ、地元の産物である花豆なども行灯作りに植えられている。駅舎の雨どいを伝った雨水は大きなウイスキー樽に貯められ、雨水を散水に使えるように工夫されている。現在はだいぶ古かった駅のトイレも改修工事が入っている。

「暮らしの手帖」別冊の「あたら・さん」の編集室はこの駅舎にある。4冊目まで出たところで、あいにく現在休刊中だが、是非また歩き出して欲しいものだ。エコロジーがテーマの雑誌なのだから、ゆっくりでもいいから、続けていくことが肝要かと。
一時間に一本しか走っていなくても、時間に正確に走り続ける電車が止まる「駅」。電車がやってきて、人が乗り降りして、また走り去っていく「駅」という空間になぜか心惹かれる。時には叙情的でありながら、事務的にきちっと運営されている不思議な場所―停車場。
宮脇俊三さんが日本が戦争に負けて打ちひしがれている時も、電車はダイヤ通り走っていたということに静かに驚嘆したように、私も電車が人の気配の無いこの駅に滑り込んで来ると、妙に感激するのだ。

しなの鉄道軽井沢駅

予告:晩秋にこの路線でちょっとした絵になる光景が見られるようです♪

■(勝手に)師匠の一冊