otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

絵本の森へ

otobokecat2008-10-04

ふと気が着いたら、もう10月?あっ、塩沢にある軽井沢絵本森美術館で開催されている「アンデルセン童話の絵本展」が10月6日(月)までであることを思い出し、月曜は東京なので、今日明日しかもう行ける日は残っていない。週末だと言うのに、店番をN氏に頼んで出かけてきた。まだ行ったことがなかったので、興味のある催事のあるときに行きたいと思っていたのだ。美術館めぐりのミニバスが11月3日まで運行されており、これに乗って行くの事に。自家用車以外には、タクシーかこのバスより他は交通手段が無いのだ。乗り放題で1日700円。ちなみに追分『堀辰雄記念館』から『絵本の森武術館』まで片道440円なので、往復だけでもすでに一日券の方がが得なのだ。
朝、追分郷土館まで坂を下り、10:06始発のバスに乗車する。中軽井沢駅まで貸切。中軽井沢駅シンガポールから来たという若い女性二人が乗車。整理券を取らないで乗ったので、お節介で教えてあげる。軽井沢は人がいなくて空気は美味しいし、東京よりいいところだを連発。「絵本の森」で三人で下車。彼女らは「野の花美術館」方面へ行くといってここで別れた。(深沢紅子さんの野の花の絵が納められている美術館だ。)
私は林の中に展示室が点在する「絵本の森美術館」へ。帰りに「エルツおもちゃ博物館」の「ドールハウス展」も冷やかそうと共通券を買って入る。人影はまばらで、色づき始めた林の小道を建物を目指してゆっくり歩む。展示室の木製のドアを押して中に入ると、木造の建物はどなたかの別荘のようにこじんまりしていて、落ち着いた佇まい。国内外のアンデルセンの生涯と作品についての説明とともに、絵本・童話の挿絵の原画と絵本を展示してあるが、私の一番の目的はイヴ・スパング・オルセンの絵をみることだったので、第一展示室ではじっくり堪能した。(福音館書店アンデルセンの童話』1-4巻)
 
 
当店でも9月に入口の棚で月特集をやった際、オルセンの絵本:『つきのぼうや』はすぐに売れていった。
エロール・ル・カインの『雪の女王』の絵もぞっとするほど素晴らしかった。絵本を子供向きの字の少ない本と言うなかれ。めくると言うことがこれほど効果的に利用されている「本」は絵本が一番だ。頁の間に時間がこめられている。
林の一角に「吉田新一文庫」があった。ここに収納されている児童文学研究家吉田氏の蔵書は申請すれば読んだり、複写することができるという。研究者には有用な場所だ。一万冊ぐらいあるかな。塩沢地区は日当たりがいいせいか、追分より紅葉が進んでいるようだった。
 
歩きつかれて、そうだフォレミ1で冊子内でお隣だった『一房の葡萄』がすぐ近くなのでそこで一服することに。店主の藤巻さんがいらしたのでご挨拶など。以前行ったときは人が多くわさわさしていたが、今日は秋晴れの土曜だけれど、先客が独りで本を読んでおられるだけで、開け放った窓からは遠くに浅間が望めて、珈琲もチーズケーキも美味しく気持ちのいい空間だった。長〜いテーブルの上には、軽井沢に縁の本がクラシックな葡萄柄の木製のブックエンドにはさまれて置いてある。手に入れにくくなった後藤明生『笑坂』の文庫本も。
やがて、行きのバスで一緒だった外国人二人がやってきて、眺めのいいテラスに席を取った。私に気がつくと「How are you?」と言って手を振って微笑んだ。メニューもちゃんと頼めているようだった。のんびり旅行が楽しめているようでなにより。軽井沢は外国人は多いところだから、なんとかなるだろう。「Have a nice trip!」と言って、先に席を立った。
バス停に向かい、14:20定刻にバスがやってきて車中の人になり、申し訳なくも貸切りで追分まで戻ってくる。