otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

シンプルな絵の力

昨晩はどんどん闇に沈み込んでいくような、雨音を聞きながら眠りに落ちた。雨に溺れる夢でも見そうなぐらいひどい雨だった。
今日は神保町へ行く日だったので、いつもより早く六時には起きたが、まだ雨は少し残っていた。治まりつつあり林には霧が巻いていた。りんごとサンドイッチを持って、八時には車中の人となる。混んでいる国道を避けて田舎道を走る。濡れそぼったゴルフ場の中を水溜りを蹴散らしながら走り抜けていく。
碓氷峠も霧だった。甘楽あたり、連なる山々の山ひだに霧が入り込み、俳画のような幻想的な光景だった。
郊外で車をディーラーに預けて代車で都心へ入る。いまどきの車には新たな機能があれこれついており、助手席であちこち触ったり、ボタンを押したりするたび、ヒョッとか、ヘェーなどと奇声をあげ、運転手(N氏)に注意される始末。
あいにく市ではいい買い物はできず。でも先週は好調だったのでまあしかたないか、いつもいいわけではないと諦観気味。
お客さんに頼まれた本を注文に取次ぎ店へ。店内の棚から見つけた本日仕入れた新刊本は、

■『ディック・ブルーナのデザイン』 (とんぼの本) 新潮社 2007-07
洗練された色と線はインパクトが強い。日本ではもっぱら絵本が有名だが、絵本制作以前に、ブルーナは多くのポスターや、本の表紙の装丁の仕事をしている。ポスターは実に素晴らしい。絵の力だけで、何かを伝えることができるのは、素晴らしい能力だ。なかでも「本のあるヴァカンス」という一枚のポスターにはしびれた。
シンプルでありながらも、彼の色と線には温かみがあるのは、そこに見る側に与えられた自由があるからだろうし、その寛大なブルーナの哲学は、オランダ・ユトレヒトの旧市街と言う土地、そこのアトリエから生み出される事と無縁ではないだろうということを、この本を読んでしみじみ感じた。

数あるブルーナの絵本の中で、今でも印象に残っている一冊は、うさぎの本ではなく、これ↓
この青と言い、一粒の涙といい、子供心に染み込んだ。ブルーナの描く涙は、たった一粒でも実にインパクトのある一滴なのだ。究極のデザイン。
ちいさなさかな (ブルーナの絵本)
■ちいさなさかな (子どもがはじめてであう絵本)
作者: ディック・ブルーナ, いしいももこ
出版社/メーカー: 福音館書店
発売日: 1964/06

独り言:私は「うさこちゃん」絵本で育ったので、どうもミッフィーと言う名前には親しみがもてないんだが・・・ぶつぶつ。