otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

暖々・・・

otobokecat2008-11-05

読書週間にちなみ、3日(月)、4日(火)と信濃毎日新聞の文化欄(7面)に「古本を楽しむ」という記事が掲載された。案内人のお二人が、当店にご縁のあるお二人であり、また4日には記事の中に当店も取り上げていただき、身の引き締まる思いで一杯。
(上)である3日は古本ライター岡崎武志さんが案内人となり、古本や古書店の楽しみ方について。古書の町として知られるイギリスのヘイ・オン・ワイやベルギーのルデュのことにも触れている。松本の老舗店とともに伊那高遠の新たな動きについても注目しているとのこと。ここに出てくる「ブック・ツーリズム」という言葉は新鮮だ。
4日の案内人;イラストレーター;池谷伊佐夫さん。池谷さんは「パピルスの時代から最近出た本まで、あらゆる本が守備範囲に入っている」ことが古書店の面白さだと語っている。また、本には読むだけでなく、装丁や挿絵など「見る」楽しみもあるとも。池谷さんの新刊『古本蟲がゆく』(文藝春秋)に「りんどう文庫」さんと当店が載っている関係で、大きく紹介していただいた。イヤー有難いを通り越し、気恥ずかしいです、ハィ【汗】。
【お断り:実は池谷さんの取材は2006年秋であったので、今回載った店内イラストと現在の店の様子は少し変わっている。】

新聞に出たお祝いではないのだが、たまたまスーパー・マーケットでお頭付きの小ぶりの鯛が大幅に安くなっていたので、一匹購入。鯛めしにして食べようと思ったら、店員さんがうろこが大きいので炊き込みにはちょっと向きませんと忠告してくれて、久々に七輪の出番となり塩焼きにした。どうやら七五三のお祝い膳狙いの鯛の販売であったようだが、まったく関係の無い我々が縁起物をいただいた。
もう屋外は寒いので焼くだけ焼いて、部屋に持ち込んで食べた。さすがに七輪、鯛一匹焼いても火力はまだまだあるので、冷蔵庫から揚げや、生揚げなど出してきては焼き、最後は白菜と肉ダンゴのスープを炊く。火力が持続する力は相当なもの。恐るべし!


一方室内では薪ストーブがいい感じに燃えて、ベル公が「でろりん」となっている。猫は本当に心地よい場所を見つけるのが上手い。
「暖」がご馳走と言う季節になってきた。室温がグーンと上がり、食べ物が痛みやすくなり屋外が天然冷蔵庫となっている追分である。

安房直子さんの本が次第に集まってきた。安房さんが1993年に亡くなったとき、50歳であったことを今まで知らなかった。
 南の島の魔法の話 (講談社文庫) 花豆の煮えるまで―小夜の物語 (偕成社ワンダーランド) 白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫) 
どの作品においても、別の世界との交流が実に滑らかに語られる。安房直子氏が次のように語っているのが興味深い。なるほど味戸ケイコさんの装画と相性がいいわけだ。

―私が、ファンタジーの作品を好んで書くのは、空想と現実との境の、あの微妙に移り変わる虹の様な色が、たまらなく好きだからです。子供の頃、私は、めざめている時と眠っている時の境に、とても興味がありました。ー
  「自作についてのおぼえがき」『児童文芸』’76夏季臨増号

長編小説を読破して少々くたびれ気味のとき、安房さんの童話を読むと、この短い物語の中に染み込んでいる不思議なエッセンスがまるで気付け薬のように感じられる。爽やかのようでいて、静かに強い。