otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

油断大敵、熊と女と火の山は

otobokecat2009-02-14


二月だというのに雨音で目が覚めた。せっかくの週末が雨では、スキー場などどうするんだろうと気の毒に思ったりしたが、日が昇って来る頃には木々枝についた水滴が日差しを浴びて光っていた。朝からストーブの火を入れずに過ごせる暖かさで、野鳥は雨上がりの庭で嬉しそうに飛び回っている。確かに暖かいのは楽だが、春が本格的に訪れるまであと三ヶ月あるはずで、連休中とて凍えそうなこともあるぐらい。それどころか雪不足は夏の水不足にもつながるので、ふと気の緩みそうな暖かな日差しの中でも私は複雑な気分だった。現に雪が融けてかきいれどきのの週末にコースを閉鎖するスキー場も群馬の方で有ったらしい。ついてないとぼやいているだろうな。
店に出かけようと外に出たら、踏み出した足の下でずぶっと土が沈んだ。昨日までコンクリートのようにカチカチであった凍土が融けたのだ。
店には春風が吹き寄せてくれたのか常連さんを含めてお客様が沢山見え、有り難い事に用意していた栞が早々に出払ってしまった。通常だとこの時期は長い冬の期間の中でも特に寒い時期で、商売は冬眠時期として一月の半ばから二月一杯まとめて休みを取るところが増え、静かさだけが取り得の高原なのだ。
そういえば、12日に噴火の収束が報じられた浅間山だが、私の目には煙は灰色に見えたとブログに書いた。昨日のFM軽井沢の記事によればその後また小さい噴火はあったのだそうだ。素人観察もまんざらではないでしょ?火山とは予測がつかない活きた山であるわけで、機械に計測をさせるだけで終わらせないで、人間が五感と経験による第六感を最大限働かせて観測するのがよいと思う。数字はその目視を裏付けるものであるべきかと。かつて追分測候所からは、遮るものなく山がしっかり見えたが、今は見晴らしが悪くなっている。だったらよく見える国有林の中に測候所を移すなり、現在の測候所にやぐらをつけるなりしてでも、しっかり監視して欲しいと思う。
カントリープレス社のフリーペーパー『日和』3月号がお目見え。今月号の『日和文庫』の当店のお薦めは児童書からくまのパディントンシリーズの新顔と市川慎子さんの本の二冊。
  
◆『パディントンの大切な家族』(マイケル・ボンド作 田中琢治/松岡享子訳 福音館書店パディントンのような熊が一緒に暮らしていれば、世の中丸く収まるのになと。ここまであれこれ派手にしでかしてくれると、煙幕作戦というか、ささいなことなどもうどうでも良くなってしまう。同じ駅でも忠犬ハチ公銅像が建つ国と、童話の中の主人公がブロンズ像になる国では、やはりちょっとユーモアのセンスが違うなと思う。駅や列車は出会いの場でもあり、実に日常的な設定でありながら異次元への入り口でもあり、ハリー・ポッターがホームの柱から魔法学校へと旅立っていった。イギリスの駅はどこも割と古ぼけていて、構内にそんな入り口があちこちにあるような気がした。そういえばかつての上野駅にもそういう怪しさがあったような。
◆『おんな作家読本』(市川慎子著 ポプラ社)ちょっととっつきにくい明治の女流作家たちをここまで見事に料理して紹介するとは、海月さん恐るべし。
折から私は寝る前に『日日雑記』(武田百合子)を読んでいるけれど、世を問わず筆を持った女には気をつけるべし、である。

さっきからなんとなく足元が揺れている様な感じがする。まあ、私の貧乏ゆすりか、マグマのいびきか・・・しれたものではない。最近数百回と起きているとされる山直下の地震は、自慢ではないが一度も体感できていないのであります。