otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

そろそろ三月雛の月

晴天率を誇る冬の軽井沢だが、最近少々苦戦中。
それでも木の氷飾りは融け、地面の雪も消えつつあるし、池の氷も張っていないのに、太陽が出ないせいか気温は上がらず、寒々しい灰色の景色があたりに広がっている。山も何日もみていない。
その上先週末に店の階段で転び膝頭をしこたま打ち、その打撲の余波が体中に広がって、わが気分もまた灰色なり。ラジオで鬱に大きく影響を与える「セレトニン?」分泌が青空と関係があると聴き、なるほど自らの太陽信仰の裏付けが取れたと納得する。太陽よりむしろ「青」に元気付けられていたらしい。こうなったら、雲の上に伸びをしたつもりにでもなって、そこにある青い空をイメージするか。

三月ひなのつき (福音館創作童話シリーズ)

三月ひなのつき (福音館創作童話シリーズ)

二月もあと数日なのでこの辺でやはり『三月ひなのつき』【石井桃子作、朝倉摂絵】を登場させよう。所帯は狭いアパート暮らしで、わが家に女の子はいないしで、この時期に雛飾りを出さなくなって久しいが、そんなときもこの本だけごそごそ出してきたりした。石井桃子100歳展を銀座の教文館でやったときの「思い出に残った一冊」の投票にこの本を選んだ。おそらく文学少女だった祖母が持っていたのだろう、物心ついたときからこの本は身の回りにあった。初版が1963年なので、今思えば私は当時主人公のよし子と同じくらいの歳であったことも身近な本となるきっかけだったのかもしれない。以来この本はとても大切な一冊となった。
この本は現在流通しているもの(写真右)はもう箱には入っていないが、以前は箱に入っており、箱の絵は表紙の絵の逆版だった(写真中上)。私が個人的に持っている初版本はすでにカバーもなく箱もなく裸本なのだが、今の装丁と違って、赤に銀がまぶしてあるちょっと変ったクロス貼りになっている。(写真左はし) 
姉妹もいなかったし、この本のせいだかどうだか、私にとってひな祭りはささやかな祭りであり、大げさにお祝いした記憶がほとんど無い。よし子のお母さんがこだわった一刀彫の雛人形にいまだに惹かれている。