otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

てんぷらではなく

昼近くに役場に行く用があるときには、すぐ近くの丸屋食堂で昼食を食べる。番頭は私は天ぷら蕎麦を食べたとメールマガジンに載せて発信してしまったが、私が食べたのは「山菜蕎麦」なり。(ちなみに親子丼と山菜蕎麦は同じ値段です。)
番頭氏は残念なことに蕎麦アレルギーなので、信州にいてもわが家は蕎麦やへは行かない。が、私は時々蕎麦が無性に食べたくなり、そういう時はこういった何でもある食堂で蕎麦を注文するという手に出る。この丸屋食堂というのが、避暑地軽井沢にあっては珍しいしゃれっ気の無いいわゆる街中の食堂。役場の前にあるので役場の食堂といった感じで、12時の鐘が役場内で鳴ると役場の人が次々にサンダルを引っ掛けてやってきて、テレビを見たり新聞を開いて、丼ものや麺類を食べながら休んでいる。大きなだるまがおいてあったり、雉の剥製があったり、古ぼけた浅間山の写真が壁にかかり、古新聞がうずたかく積んであったりといかにも場末の食堂なのだが、ちょっとここの雰囲気とは違うロングブーツをはいてエプロンの上からベルトをしたお洒落な女将さんが、にこやかにお給仕してくれる。窓の外には大きな池があり鯉が数匹泳いでいる。国道側の入り口に暖簾が出ているのだが、ほとんどの人は暖簾の無い側面のドアから入って来る。「かるいざわ」の響きに誘われてこの地を踏んだ人は、まずこの食堂の存在をしらないだろう。ガイドブックにもでていないだろう。
午後は店で発送の梱包をしたり、市で仕入れた本の整理や、店内にかざったお雛様を仕舞ったり。
それにしても今日は雨が良く降った。白かった林が見る見るうちに褐色に塗り替えられていった。雪が消えると落ち葉の下や建物の際に地べたに張り付いた緑の草がちらりと見える。雪解け水と大雨で、土の道はひどくぬかるんでいる。木々の枝先が赤みを帯びてきた。夕方店をでたら、土のにおいがした。