otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

まど・みちおの世紀

otobokecat2009-03-22

金曜日が旗日であったので、久々に三日連続の開店でした。最終日の日曜日は雨交じりでもあったので静かでしたが、金曜、土曜は久々に店が混んで、スリッパが出払いました。子ども連れのご家族での来店があると、そろそろシーズンが始まったなと感じます。追分には様々な顔がありますが、今の時期に別荘を開けるけるのは、よっぽど寒冷地での暮らしに慣れた方であり、別荘があくのはもっぱら四月の声を聞いてからです。春休みの今に時期には家族で旅行する方が多く、しかも子どもが小さい方が多いです。首都圏、あるいは佐久や上田から買い物やコンサートに軽井沢に見えたカップルや家族連れが、追分に食事などで立ち寄ってくださるようになってきました。4月から寿美や工芸店、新しい雑貨店「ままごとや」さん、去年からのタイル屋さんも店開きして、追分宿が賑やかになってくるのが楽しみです。ピザ屋さんも出来るらしいです。
一方、移住組、地元の人たちは、バーゲンや行楽客で道路や店が混む時期は〔渋滞に巻き込まれたくないので〕出歩きません。来週より木・金も開店しますので、空いているときにどうぞ。
そんな家族連れで賑わった週末、一組のご家族は二日連続来店して、親子4人でブック・カフェのテーブルで本を読みふけっておられ、その姿にちょっと感動しました。4人が4様に本を読むというのは案外珍しいのです。お父さんは鳥の写真を撮る方でもあり、裏庭の餌台も熱心に双眼鏡でのぞいておられ、鳥の名をすべて言い当てているのはさすがでした。ボクが気に入ったのは、店の一番奥にあったまどみちおの詩集『てんぷらぴりぴり』で、そのなかの最短詩「シマウマ」を暗記していました。
今年100歳のまど・みちおさん。教文館ナルニア国で展覧会も開かれています。これを機に復刊もあちこちからされるようです。まどさんというと童謡も有名ですが、わたしもボクのように短い詩に惹かれます。

「つぼ(1)」
つぼを 見ていると
しらぬまに
つぼの ぶんまで
いきを している

「つぼ(2)」
つぼは
ひじょうに しずかに
たっているので
すわっているように
見える



この詩集は「子ども図書館」シリーズとして大日本図書から出されたものが愛蔵版として新版となって、二種類出ています。〔1990年〕ともにイラストレーターの杉田豊が装丁を手がけています。杉田豊といえば、滲みを巧みに使った色彩豊かなインク絵が得意ですが、この詩集の挿絵はモノクロと赤の三色だけで、色を抑えたことでグラフィックの完成度の高さが際立ち、まどさんの詩の宇宙に見事に呼応しています。このたび100歳記念で再び装丁に手を加えて出たようです。
杉田豊といえば絵本は年代、国籍を問わず受け入れられており、絵の持つ力の凄さを感じます。

どうぶつ あいうえお (文字と数のほん)

どうぶつ あいうえお (文字と数のほん)

■トップの写真は、喫茶「ごんざ」さんの窓辺。シジュウカラが窓枠の餌箱にひまわりを貰いにきたところ。