otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

街道の賑わい

何時になく早く、朝八時半には店へ出かけて行き店頭セールスの設定をはじめ、九時に村中線は歩行者専用道路となりました。まず「追分宿」の石設置の除幕式が公民館前であり、開会の合図の花火が九時半にポポンとあがると馬子唄道中の一日が賑やかに始まりました。

心配していた天気は予想に反してほぼ快晴。太陽の下ではじめることができて、準備する人たちも口々に晴れになったことを喜んでいました。昨日、番頭氏が中山道会議に出た成果で、店には朝から各地の宿場の方がたの表敬訪問もあり、華やいだ雰囲気で始まりました。
扮する衣装に着替えが済んだ道中に参加する方々が、道の行き来をはじめると、一般の方の中に「黄門様」や「飛脚」が混じって歩いているので、まるで映画村にいるような感じになりました。来年こそは私もせめて浴衣を着るぞ!(と毎年思いつつ、まだはたせないでいます)
例年は5分ほど離れた浅間神社に祭りの中心があるので、行列の行き来がない時間はこのあたりは静かだったのですが、今日はすぐ隣の堀辰雄記念館の駐車場が中山道の物産展の会場となり、テントが沢山建ち(写真)、最中・饅頭、アイスクリーム、名産物がいろいろ売られました。ラーメンの屋台を引いたトレーラーもありました。店の辺りが賑やかになった為か人出も多く、朝からとても活気がありました。
鼓笛隊や小学生のお神輿、同好会のかっぽれ、チンドン屋さん一行などが店の前を次々に通りすぎていきます。そして最後に浅間神社で結婚式を挙げたお嫁さんを、馬に乗った神主さんが先導して、馬子が馬子唄を歌い歌いながら練り歩く行列が浅間神社を出発し、店の前を通り過ぎていき祭りの山場を迎えました。
と、ここでにわかに空が掻き曇り、雨がざっと降り始めてしまったのでした。気の毒にも白無垢のお嫁さんは道中で雨に降られてしまい、本当なら油屋旅館の前庭で馬の休憩と記念写真撮影があって、再出発して神社まで戻りお開きになるのですが、今日は浅間神社に戻らないまま道中は中止となってしまいました。
実は昨年も祭り終了の三時に強烈な雷雨となりましたが、今日は残念なことに一時間早く降ってしまいました・・・。でもみなさんあまり悲観していなかった様にお見受けしたのは、朝からずっと装束を身に付けて、十分楽しんでいたからだと思います。ハプニングもまた楽しでしょうか。ずぶ濡れのカツラや衣装のその後が気になるところでありますが…。
当店は、ひたすら店頭のセールと店内営業をやっていました。常連の方に寄っていただいたり、道中を見物している方に立ち寄っていただいたりしました。古本市は一冊百円、三冊二百円のコーナーと一冊二百円、三冊五百円のコーナーがあり、皆さん結構真剣に選んでいました。お買い上げ有難うございました。

一年で一回だけ車道が歩道になる日なのです。歩くことによって人と人の付き合いができるように思います。ふとみると、見物の方のほかに公民館でボランティア用の炊き出しをしていた人やら、神輿のあとに続くこどもたちのお世話をする保護者の方、踊る人のために音源をリヤカーに乗せて伴走する人など、様々な人が行列を見守っているのがみえました。店先で古本市をしていると道を行く地元の方にご挨拶いただいたりして、往来のある道の賑わいを体験することができました。
突然の雨で散会となってしまい、一気に路上から人影はなくなりました。
雨で濡れる道に仕事を終えた馬の蹄の音がぱかぱかと響きました。馬も人もお疲れ様でした。
「街道だった日」に思いをはせた五時間でした。
本屋を覗く、助さん格さん
馬子衣装がお似合いYさん