otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

賑やかな星

昨日は日帰りで買取りへ東京行でした。霧の濃い朝で、フォグランプを点灯して走りましたが、通勤時間帯の18号線もいつもよりゆっくりの運転で若干渋滞気味でした。信号機がかすむほどだと、さすがに早くは走れないのです。上信越道へ入った頃からようやく霧が晴れ、黄葉した景色が見えてきました。そうかまだ黄葉中!針葉樹の緑と黄葉と褐色の木々が、雨に洗われて朝日に照っていました。都心に入ると黄葉が始まりつつある銀杏の街路樹の緑と黄色のグラディエーションが迎えてくれました。東京の11月下旬はまだ秋なのですね。

すでに主のいなくなった家から本を運び出す仕事です。今日は二回目ということもあり、少し環境:家と棚に慣れて、天気も前回は二週間前だったにもかかわらず寒かったので、作業はいくらか楽でしたが、そうはいっても本棚から本を出し縛って持ち出す作業は、肉体的にだけではなく、精神的にはしんどい仕事です。棚から出して、本の大きさを揃えて約20冊ずつ縛って、部屋の端に積んでいき、最後に運び出し車に詰めていくわけですが、作業をしながら、つい蔵書の顔ぶれを見てしまいます。そして蔵書の主のことなどあれこれと考えます。本来私情は挟まないほうがいいのでしょうが、本棚と言うのはちょいと詮索をしたくなる、そういった場所です。本の持ち主だった方に面識はないのですが、旅行の写真、趣味で書かれた油絵などもまだ壁に残っているので、黙々と作業しているうちにも、心の中で本や家にいろいろな対話をしている自分がいます。少しずつ棚が空になり、無彩色の空間が増えて行きます。
積み込み出来る分量に限りがあり、日没が5時ごろなので、それらを逆算して縛る作業をやめて積み込みをして、ちょうどすっかり暗くなった頃イルミネーションが点灯して賑やかになった街から出発しました。後二回ほど来なくては終わりそうもありません。
助手席の私は、疲労感もあり車窓をぼんやりと眺めていました。表参道を走ったら、待ち行く人の格好がおしゃれで、スタイルもカッコいいこと。季節がらもあるのでしょうが、町は電気の光で溢れていて、まばゆいほどです。
信号待ちの人で交差点の横断歩道がみるみる人で埋まっていきます。師走が近い都会は、これからもっと賑やかさを増していくのだろうなぁ、とまるで別の星から来た人のように車内からあたりを眺めていました。


■北側はきっともっと白いだろうなぁ。