otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

スプリング・エフェメラル

■集合場所に向かう途中

25日(日)今シーズン初めてのイベントが行われました。「第一回軽井沢散策」はスプリング・エフェメラル がテーマで、町内の扇平までいってきました。講師はおなじみ高尾幸男さん。
先週の雪の週末をおもえば、なんとか晴れてくれただけでも有難いですが、快晴ということで放射冷却となり凄く寒い朝となりました。朝の気温が−6℃で、春の妖精に出会う前に、冬の名残の霜柱に出くわしましたよ。4月の下旬にこんな立派な霜柱にお目にかかれるとは!思わず、ぱちり。扇平は同じ町内とはいえ、東端で群馬県境も近いところにあり、西端の追分よりも少し寒く感じました。
木々が葉をつけない今だからこそ、地面にはたっぷり太陽が降り注ぎ、そんな中に勇敢にも凍土から姿を見せて花を咲かせ、他の植物が頭角を現してくる頃にはひっそりといなくなってしまうのがスプリング・エフェメラルです。その小ささ、出現の短さのはかなさが妖精と言われる由縁です。
この日は4月の中旬から姿を現し白い花を一輪咲かせていたアズマイチゲがもう花を開かなくなりつつあり、うつむいていましたが、わずかに一、二輪が開いてその姿を見せてくれました。なんとも可憐な白い繊細な花びらとその立姿でした。スミレはまだまだ葉柄が短く地面に這い蹲るように咲いていることを考えると、アウマイチゲは勇気ある春一番の妖精です。閉じている花姿からは想像がつかないくらいたくさんの花びらをもった花でした。

このあたりは湿めり気味の土地であり、加えて東山道入山峠に近い土地柄、古くから適度に人の手が雑木林に入ることで、低木が茂ることが無かったため、こういった春一番の植物が群生する環境が整ったと考えられ、手着かずの自然があればよいと言うわけではないのです。観察地も宅地開発がすぐそこまで迫ってきており、今後どうなることでしょうか?
ここのカタクリはこれからというところ、サクラソウも細かい毛に覆われた葉を地面から覗かせていました。カタクリは葉を先に出しますが、一枚のものはまだ今年は花をつけないそうです。一枚の葉が来年以降の開花のための養分を取り込んでいるのです。そう言われてみると確かに山荘の周りに咲いているカタクリは、花がついている株には必ず複数枚の葉がついていました↓。
 

サクラソウが増えるのには二通りあると言った興味深い話を温かい飲み物をいただきながら高尾さんに伺いました。またそこには昆虫も関係しているようですよ。
春の妖精たちは身を守るために、夏からは地上の姿をくらまし、地下茎に養分を蓄えて過ごし、また来春の一番乗りに備えるという、はかないどころかかなり逞しい植物だったんですね。
はたしてそのサクラソウが町内で自生している土地はどのくらいあるのでしょうか?
セツブンソウに始まり、アズマイチゲカタクリの次は、サクラソウニリンソウヤマブキソウなどが見られると言うことです。静かに見守っていきたいと思います。
寒い中、ご参加いただいた皆様有難うございました。今回都合のつかなかったかた、是非次回にどうぞ!今年もまた高尾さんと町内をいろいろ散策する予定です。

春の妖精たち (たくさんのふしぎ傑作集)『春の妖精たち―スプリング・エフェメラル』 (たくさんのふしぎ傑作集) 奥山多恵子著 福音館書店(2010/01/30)