otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

町内観光日 後編 (ふたたび長文)

フデリンドウが見頃を迎えました。太陽の日差しに誘われてぱっちりと咲きます。夕方には閉じます。

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『絵本の森』を楽しんだ頃には昼食時間をとっくに過ぎていました。さすがにお腹が空いてきたので、ミュージアム・カフェ ルーエのテラスででカレーを食べました。おしゃれに作られてあったけど、ちょっと小ぶり。(もう少しボリュームが欲しかったかな。)エルツのショップでカードなどを買って、塩沢を出立する15:51までまだ時間があるので、もう一度タリアセンに戻り、園内の「深沢紅子野の花美術館」へ。建物はかつての軽井沢郵便局で「明治四十四年館」とよばており、国の登録有形文化財です。二階の展示室の数ある花の絵の中で、今日は「ヤマブキ」の額の前で足が止まりました。油屋敷地内に二棟あった貸家のうちの一軒に堀辰雄夫妻が住んでおられたことがあり、今でもひっそりその家は建っていますが、毎年五月初めには垣根に山吹が咲きます。今年は何時に無くたくさんの花がついていたのを目にしたからかもしれません。ちなみにもう一軒の貸家に住んでいたのは、河村目呂二一家です。
紅子さんの夫君深沢省三のさまざまな浅間山の絵も楽しみました。
三時すぎになったので、湖畔をぐるっと回ってタリアセンを出ました。終日天気が良く、天気のいい平日は長閑で空間を独占できて、ちょっといい気分です。軽井沢町内循環バスの乗り場を確認すると、ちょうどバス停の前が珈琲ショップなので、バスに乗りますからねと念を押して、美味しい珈琲を一杯淹れてもらって、バスを待ちました。
塩沢地区にはカツラの樹が街路樹として植わっていて、その新緑がさわやかでした。カツラは樹形もきれいで、ハート型の可愛い葉なのです。
ふとみると道路の反対側に以前はあったはずの「高林閣」の看板がみえません。珈琲ショップの人に聞いてみると、数年前に休業してしまったとか。かつてここには飲用すると塩味と鉄と炭酸の味のする湯治場のようなぬるい温泉(炭酸水素塩温泉)があったのです。まだ回数券が数枚残っていたはずだけれど・・・。
やがて時間どうりに循環バスはバス停「塩沢湖」に停まりました。乗ると、テニス帰りらしい真っ黒に日焼けした若い人三人、杖を持った初老の男性ひとり、中高年のオバさん二人が乗車していました。
軽井沢町内循環バスは西と東にあり、東(中軽井沢-軽井沢)には外回りと内回りがあります。塩沢に関しては、一日わずか2便しか立ち寄ってくれません。中軽井沢方面へは11:11と15:51ですので、逃したら大変と言うわけです。バスは窓を開けて軽快に走りました。運転手さんはこまめに「右に曲がります」「おおきく揺れます、お気をつけ下さい」とアナウンスを入れていましたが、テニスウエアの若者三人はどうやら中国人らしくおしゃべりに夢中だし、おばさんは今年の山菜の出来の話で盛り上がり、あまり聞いている人はいないのでした。
東→西コースのバスに乗り継ぐのは「軽井沢病院」でということになっていましたが、乗り継ぎ時間が40分もあるので、私はひとつ手前の「中軽井沢」で下車することにしました。西コースも「中軽井沢」を通過するのです。実は乗り継ぎをするというと「乗り継ぎパス」を貰えて、200円で両方のバスに乗ることが出来るのでした。乗り継ぎ地点は「軽井沢病院」としかパンフレットに表示していないので、果たして別の停留所で降りてもパスがもらえるかどうか心配していました。軽井沢病院乗り継ぎは、病院の待合室で待つことができるというのが、寒い冬などに有効と言うことですが、病院の周りには役場くらいしかないのです。「中軽井沢」周辺には商店がいろいろあります。この日のお目当ては、バス停のすぐ近くに開店したばかりのパン屋を覗く事でした。実はパン屋と本屋は私のお気に入りの二大商店なのです。(あいにく中軽井沢には本屋はありませんが。)開店したばかりとあって、この乗り継ぎ時間にぜひとも行ってみたかったのでした。
haruta(ハルタ)という長野や上田にもある店で、単なるパン屋ではなく、紆余曲折を経て今の店の形となり、「パンと珈琲と家具」を売る店なんだそうで、北欧に大きく影響されているようです。店のショップカードをくださいというと、A2サイズのポスターのような大きなニュースペーパーをくれました。読んでみると店のコンセプトが伝わってきます。フムフム、なかなかユニークですぞ。「まちなみ」を気にしているということで、信越線廃止ですっかり寂れてしまった中軽井沢に一筋の光明?となるか。大いに期待したいところです。面白そう!パンをあれこれと買ってしまいました。
■中軽井沢の彩色されたマンホール

当初の目的をはたしてまだ時間があったので、パンの袋をさげたまま、82銀行ATM、郵便局、十字屋文具店にも寄ることができました。文具店のおば様に「あら、パン屋に行ったの?」と言われてしまいました。透明な袋なんでパンが丸見えなのです。結構いい宣伝になってます。
すべての用をたしてバス停に戻り、16:53発の循環バス西コースを待ちました。ベンチで腰掛けている五分間に、二組のパンの袋をさげている人が通りました。一人の人は、バゲットを歩きながらかじっていましたよ。
バスに乗車して、一路西へ。16:53中軽井沢発のバスは、借宿→追分駅v大日向と廻って、店のすぐ近くの「追分昇進橋」バス停に17:22に到着。パスを渡して下車。やった!塩沢から「200円」で帰ってきました。ただし2時間かかりましたけれど。待ち時間も有効に使えたので良しとしました。店で注文書籍の返信メールを出して、山荘に戻りました。

町内9時間一筆書き観光は無事完了。交通費は行きが230円、帰りが200円でした。また別のコースにトライしてみようかな。入念な事前の計画が必要であり、乗り損ねると大変なことになるというスリルもある旅で、ボケ防止にはなるかもしれないですが、もう少し町内の交通機関の利便性を見直す必要があるように思います。
現状ではやはり車で行く方が便利と言うことになってしまいます。病院や図書館や役場、郵便局、銀行、学校といった公共性の高い施設には、車の運転のできない子どもから年寄りまで、時計を気にせずに行くことができる町であって欲しいと思います。軽井沢病院以外にも町内にはいくつも医院がありますが、今の交通体系では、頭も体も元気な人しか病院に行く事ができない?ですよー。長い一日にお付き合いいただき有難うございました。

■山荘に今年初めてウワミズザクラのブラシ状の花がつきました。花がついて初めて樹の存在に気がつきました。数本あります。