otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

いつになく静かな木曜日

otobokecat2010-11-11

乾燥した日々が続いています。もはや雲になる水分もあまり無いらしいし、風向きのせいか浅間山の噴煙もろくに見えず、落ち葉の上を歩くとさくさく、ぱりパリ言っています。
林ではついに、しんがりの落葉松の黄葉がはじまり、色づいてきたと思ったら早くも黄金色の針がはらはらと散り始めていますが、この針はどこへでも入り込み、かばんの中や、コートのポケットの中に、もちろん店の玄関にも吹き溜まっています。
もう野に咲いている花はほとんどありませんが、ふと見ると店の前庭にリンドウが鮮やかな青紫の花をいくつも咲かせています。花屋さんで売っている丈の長いものとはだいぶ違い、せいぜい20cmぐらいの背丈ですが、しっかりとした花色に目を惹かれます。日を浴びて開き、夕暮れとともにきっちりつぼみます。今年はいろいろな雑誌や新聞に載せていただきましたが、このたび「ダ・ヴィンチ12月号」出版ニュースクリップに、一ページを割いて秋の「信濃追分*ホンモノ市」や「マクベス朗読劇」、堀辰雄「初版本コレクション展」@軽井沢高原文庫のことなどに触れていただいています。遠路わざわざ取材にお越しになり、「本のまち・軽井沢」について書いていただき有り難い事です。本の話題満載の雑誌です、是非ご一読下さい。

ダ・ヴィンチ 2010年 12月号 [雑誌]

ダ・ヴィンチ 2010年 12月号 [雑誌]

今日は木曜日だというのに、今週の追分宿は閉まっている店が多くてかなり寂しいです。

■「ごんざ」さんは、11月8日をもって閉店されました。ご家族の都合で県外に引っ越されるそうです。最終日の月曜には我々は出張で不在だったのでお会いできず、本日ご挨拶に見えました。
(来春から別の方が入られることが決まっています。)15年追分宿の中心で店を開かれて、鄙びた村をここまで支えてこられたのです。常連さんも多かったです、かなり寂しくなります。
■「亀田や」さんは、美保さんが体調を崩され現在まだ閉店中です。もう一ヶ月以上になります。
蕎麦屋の「ささくら」さんは今週は突然臨時休業です。理由は不明。「ささくら」さんがお休みだと、当店はいよいよ静かになります(涙)。
12日ささくらさんは営業しました。ほっ。
■「生成」さんも9月末で廃業されたし、木曜はピザ屋さんも定休日。18号線沿いてんぷら「木戸口」さんも「休」の札がでており、今日は真冬以前だというのに、村はもう冬眠してしまったかのような一日でした。

一方、あちらこちらで道路等の工事が続々と始まっています。春に半分終わっていた御影用水のU字溝工事の続きがいよいよ始まるようです。メロジさんの山荘があった敷地内も今回の工事区間に該当するとのことです。ここは現時点でU字溝が入っていない数少ない場所で、水の流れが緩やかに蛇行しながら草地の中を走る素晴らしい景観となっています。私有地の中、しかも前庭の真ん中を横断していくというケースはあまり無いと思います。ヤマセミさえも来るような理想的な小川であるのに、直線的な川のラインに矯正して、無機的なコンクリートのブロックを埋め込み、生き物が住めないような水路にはして欲しくありません。川の両側の樹木等も河川敷きの所属という考え方があるらしく、私有地内だというのに伐採されてしまうものもあると聞きます。昨今の各地で起きている水害が河川の護岸にあると私は考えます。コンクリートで固めることで、必ず川の流れも急流となり、ひとたび大雨でも降ろうものなら新たな水害が生まれることもありうると危惧します。深さが50cmあれば、コンクリートの川だったら人だって流されますよ。

この目呂二さんの庭に、何時の日にか目呂二ライブラリーができることを夢見ている人々もいることを、忘れないで下さい。
家屋の周りに塀の無いのがこの地の最大の魅力です。川の流れを含む自然景観はたとえ私有地でももはや私物ではなく、人だけでなく生き物みんなの共有財産です。コンクリートの護岸は水質にも影響が出るのではないかと、老婆心ながら思います。
工事には最大の配慮がなされることを期待しますが、すでに春に苦い経験をしている私としては、コンクリートの棺おけのような新しい水路を見つめながら、つい声が大きくなってしまいます。
これでは鳥が水を飲むことも、川岸に草が生えることもできません。いくら農業用水といっても、川の流域の環境についての配慮もしていただきたいと切に思います。地下のパイプラインではないのだから。