otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

落葉と少女とねこ

黄色も紅も、もう見当たらなくなりました。あたり一面褐色の世界です。晴れると灰褐色の落ち葉は乾いて足が沈むくらいふんわり地面に積もっていますし、雨が降れば俄然輝きだして、しっとりした空気にまで褐色が溶け出してくるようです。早朝に外に出てみれば、葉の一枚一枚の縁にレース飾りのように霜の白いフリンジが付いています。そのときその時で同じ落ち葉とは思えないくらい違った表情をみせます。

ねこ新聞 11月号』が郵便受けに届きました。たまたま広げていた画集『bonheur』の作者南桂子さんのエッチング「落葉と少女」が表紙になっていたのでびっくりしました。こんな偶然もあるのですね。実はまさしく今の追分はこの「落葉と少女」のような世界です。もっともこの村には「少女」はなかなか見つけられませんけれど、猫ならいますよ。(南さんの絵に良く出てくる鳥は勿論のこと、きつねなんかもいますケド。)
『bonheur』にある「猫を抱く少女」も然り。地面に落ち葉が敷き詰められ、頭上には数枚の枯れ葉が枝にしがみついているばかりです。すっかり裸になった林ですが、寂しいとは思わないのは、多分枝と言う枝には冬芽がしっかりついており、木立が生きているからでしょうか。猫を抱くように、木々も命を抱えて佇んでいます。
この「落葉と少女」は銅版画作品の最後のページに納められています。

ボヌール■ボヌール 南桂子作品集  リトルモア刊 2006/05/24

ふと見ると、玄関の外猫食堂には尻尾が2本!!どうやら新入りです。キツネ君に餌を分けてもらって仲良く食べているではありませんか。相当用心深く、滅多に姿を現しません。いつも玄関のドア前で座り込んで、ドアが開いた瞬間にドアの隙間に頭突き攻撃のずうずうしいキツネ君に比べると、かなり臆病なやつですが、小窓から覗き見たところによると、まだ子どもなのか小柄で色はまだらですが全体が黒っぽいので、性別不詳ですが黒吉:クロキチと呼ぶことにしました。
二匹の仲がいいのはいいことです。しかしこれから冬に向かってどうしたものか・・・。
キツネ君は我が家だけでなく、渡り猫でお隣にも餌をねだっているとのこと。食欲旺盛で、何時だってがつがつで、お残しはありません。いつも嘗め回してきれいに平らげます。すでに冬に向かって準備は万全?ムチムチと太っています。なにしろ昨冬を屋外生活で乗り越えた実績もあるツツワモノです。一方新顔のクロキチは痩せていて、この臆病さではちょっと心配です。クロキチにねだられたら、おばちゃんはすぐにでもあげてしまいそうです。まだその気配は微塵もありません。キツネ君はがつがつのふりをして、クロキチに分け与えているのか?親子?なぞは深まる・・・いかん、いかん、開店時間です。
◆恒例のクリスマス絵本コーナーもできております。
ユリイカの11月号が猫特集だったのも、やはりこの時期ならではでしょうかね?猫のぬくもりにすがりたい、そんな晩秋の一日は本屋へどうぞ。
 ユリイカ2010年11月号 特集=猫 この愛らしくも不可思議な隣人本がじんわりと心のあんかになれるといいです・・・。