otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

う「ん」のいい手拭い

寒い一日でした。暖簾は出したものの、案の定玄関の引き戸はわずかに数回開いたのみでしたが、そんな中なんと手拭いが到着しました。
被災地で宅急便が活動できるようになった第一便で、手拭いはやってきました。宅急便の配達のお兄さんにも「ほら、仙台からの荷物なんですよ。」と言ってしまいました。
到着を報告とお見舞いに、到着後すぐさま彦染さんに電話しました。電話の向こうで開口一番Sさんは「遅くなりました」とおっしゃるので恐縮してしまいました。納期に間に合うとは思いもしませんでしたよ。ライフライン復旧に時間がかかり、復旧後も輸送が麻痺していたので、納期に間に合わないかとひやひやしたそうです。幸い備蓄の灯油があったお陰で仕事も続けられたとのことです。混乱の中出来上がってきた手拭い「ん」は、その名の如く運(うん)がいいのかもしれません。
今回の色は「栗梅:くりうめ」色です。小豆色、海老茶色と言う方がわかりやすいかもしれません。一言で言うなら「お汁粉の色」です。暖簾を染める際に迷った色のうちの一色です。
例年のように店頭で二千円以上お買い上げの方に、ご愛顧のお礼を込めて、一本差し上げます。(本数に限りがございますので、お一人様一本とさせていただきます。)
これでなんとか開店から5年目の春を迎えたことになります。5色揃う日が来たことに深く感謝致します。いろいろな意味で困難な年となるかと思いますが、「できることを頑張る」しかないと言うことで、この時代を乗り切りたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
この手拭いを届けてくださった多くの方、有難うございます。本当の意味で「ありがとう」の手拭いとなりました。

店を閉めて外に出たら、いつの間にか雪が降り出していました。どうりで急に冷えていました。雪が消えて褐色となった林が、みるみるうちに白く塗り替えられていきます。被災地にとって情けの無いこの寒さ。せめてこの寒さで地殻のパワーも原始炉も鎮まって欲しいものです。
軽井沢町内の保養所等にも避難されて来たとのこと。寒いし不便で、静けさだけがとりえのこの町ですが、被災された方にはその静かさが貴重かもしれません。本屋がお役に立てることがあれば、協力したいと思います。明日は、避難の方を多く受け入れているお隣の新潟の子どもたちに本を贈ろうと思います。できることをしようと思います。

夏になっても計画停電が行われるとなると、別荘や保養所にみえる方が例年以上に増えるような予感がちょっとしています。
かつて戦争中も疎開の方を多く受け入れた軽井沢。昨今の観光地、買い物客で賑わうよりも、本来の「空のない病院」の力がいまこそ発揮できると良いと思います。