otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

水は澄めども


このところの様々な痛手がボディー・ブローのように効いて来て、そのうえ花粉症も何時に無くひどくて体も頭も重く、文章のまるでかけない日々でした。10日も空いてしまいました。スミマセン。
停電も無く、余震もそれほど感じないこの地でもそうなのですから、東日本のかたにとってどれほど厳しい日々だろうかとひとえにお察しいたします。一ヶ月のメモリアルの今日、またしても大きな余震!なんとも無情な・・・。時が止まるとはこういう状態なのではないかと。
両親が阪神淡路大震災を体験した我々にとって、大地震からの復興への道がどれほど険しいか、多少なりとも知っているつもりですが、今回のそれは規模といい、大津波原発とトリプルパンチの複雑骨折に加えて、漁業、農業を生業としている方の割合が多いこと、発生した時間が日中で、しかもまだ学校がある時間帯だったことで、一家が離散してしまったということなど、数え始めたらきりが無いほど不運なことも多く、東北の方の我慢強さ、結束の強さだけがその中で微光を放っている様に感じます。

番頭氏が三日間帰省していたので、私は事実上「孤軍」でしたが、奮闘するまでもない静かな追分でした。世間では桜前線が北上し、少しは華やいでいるのでしょうが、それとは無縁のここではダンコウバイがようやく黄色いぽんぽんのような花を枝につけました。カタクリの葉もまるで手品のように一枚また一枚と少しずつ増えています。スノードロップが小さな花をつけました。みると浅間山もかすみにくすんで見えます。
ほんのかすかな春の気配です。
昨日までなぜか茶色く濁っていた池の水が、今日見たらきれいに澄んでいました。どういう按配なのでしょうか。素人の直感では有機的な季節になってきたということのような気がしています。ここ数日羽虫のような小さな虫が池の上に群れて飛んでいましたし、夜は外灯に小さな蛾がピロピロと飛んでいます。少しづつ大気中で微生物が活動を始めたのではないでしょうか。食物連鎖の開始と言い変える事ができるかもしれません。実は徐々に進んでいたことに気が着かないのは人間だけだったのかもしれません。ある日突然池の濁りが取れたので、びっくりしたのでした。今は底までちゃんと見えます。

自然災害もある日突然霧が晴れたように急激に復旧するなんてことがあったら、どんなにありがたいことかと、有り得ないことを妄想したりします。

◆上のロゴは「日和65」の巻頭に掲載されていたものです。フランス在住の和食店主が義援金の募金の箱に貼るラベルのデザインをツイッターで募集したところ、著名なデザイナーが早速作成してくれたとのことで、ダウンロードフリーとなっているものです。美しいラベルです。

背景の空ですが、私はこのロゴを見て、地震翌日の南三陸町の冠水した海岸線の水面に移る空をテレビの画面で見たときのそこはかとない空しさを思い出しました。


こういうときは、せめてきれいなものを目にして、気持ちのバランスなど・・・。
Ein Vogelparadies in deinem Garten: Lebensraeume fuer Voegel gestaltenEin Vogelparadies in deinem Garten. Lebensraeume fuer Voegel gestalten
作者: Marjolein Bastin,Nico de Haan,Dorothea Raspe Landwirtschaftsverlag 2006/04
マロリン・バスティンが描く花と鳥の四季マロリン・バスティンが描く花と鳥の四季
マロリンバスティン,フランスバイシンク,森山緑,水野順子 マール社 2006/03