otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

ノイバラ忌

otobokecat2011-05-28

季節外れに白くなった浅間山でしたが、さすがに数日で消えていく淡雪でしたが、お陰でカメラを構えると雪の白と緑と花とが枠の中に共存しているふしぎな光景を見ることができました。まるでヨーロッパアルプスにでも行ったみたいでした。不運にもこの寒さで花芽をやられてしまった花もあるみたいですけれど。
晴れて山が見えたのも束の間、梅雨空の日々が始まり、おまけに台風まで来ているとか。週間天気予報からお日様マークがすっかり消えましてしまいた。春が遅く、梅雨が早いって・・・なんだかなぁ。
先日の追分散策の日にオドリコソウが咲き始めているのをみましたが、それから一週間いまが盛りです。雨がぼそぼそと降る中で、葉の下で乳白色の花が薄く光ります。雨宿りをしているように見えます。ソウです、雨季に咲いても大丈夫なように葉の下で咲くのですね。雨宿りに来た虫たちにもってこいの花の位置です。たいていの花が雨に打たれてうなだれているのに、オドリコソウは雨の中ますます花盛り。ふしぎな花です。
今日はノイバラ忌。堀辰雄の命日です。ノイバラ忌と命名したのは昨年4月に亡くなった多恵子夫人。その夫人が必ず列席した講演会には、辰雄の命日だからと言うよりも、多恵子さん笑顔に会いに沢山の人が訪れていました。お二人ともいない今年の会にも4,50人が訪れたということは、その余韻に浸ることのできる人がまだいらっしゃると言うこと。あたかもノイバラの淡い香りが雨の中でふと鼻腔をくすぐるような密かな一瞬のようです。

一方当店では「本のまち・軽井沢」の幕開けにふさわしく、この地だからこそできる対談が実現しました。会場がブックカフェの狭いスペースでしたので、20名限定の贅沢な時間となりました。
高(旧字)平哲郎さんと南伸坊さんの掛け合いは絶妙でこれぞトークという感じでした。上手く言い表せないけれど「編集」力というものの重要性をずっと感じながらお話を伺っていました。この場を共有してくださった皆様に感謝です。