otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

夏の宵のこころ

本夕、軽井沢朗読館で作家の高樹のぶ子さんの講演があります。朗読のために書きおろした作品「翔の魔法」の発表ということで、興味深いです。勿論、青木裕子館長の朗読です。この講演会は東日本、震災鎮魂の会として行われ、復興基金に寄付されます。「本のまち・軽井沢」でも全面的に支援しています。

●7/16(土) PM5:00〜
東日本、震災鎮魂の会「名も無き多くの死に祈る」
  講演 高樹のぶ子
  朗読 青木裕子
  ギター演奏 尾尻雅弘 
◆料金2000円(売り上げから諸経費を差し引いた全額を東日本大震災義援金として日本赤十字社に寄付します

●軽井沢朗読館 0267−46−0036
 http://karuizawaroudokukan.jp/2011/06/10/420.html

つづき
店を閉めてから、朗読館に向かうと、イベントの最中でしたが、高樹さんの部はちょうど終わったところでした。第二部の尾辻さんのギターは伺う事ができました。私はギターはできないのですが、弦の多いモノでより高度な技術が必要とのこと、50人近い方が聴き入っているとは思えない静けさでした。日没となったとたん、夜鳴き鳥のささやきと、冷気がヒタヒタと玄関から床に偲びこんで、まさしくレクイエムの場に相応しい空間でした。白壁に架けられた安斎さんの鉄の彫刻も聴き入っているかに見えました。
お開きの跡は、関係者の打ち上げBBQがあり、「本のまち・軽井沢」のメンバーは青木さんから「焼き隊」をおおせつかり、仕事の合間にワインをいただいたり、焼き立てをつまんだりと言う特権も乱用しつつ、夏の宵を様々な方とお話をしながら楽しみました。
中でも軽井沢で今まで尽力されてきたHさんとの話はとても印象的でした。この地で活きていくための心得を伺うことができました。
庭に松明のように燃える太いろうそくの火をみながら、Hさんはこの火のように生きていくのがいいとおっしゃいました。ろうそくの炎は風に揺らめきながら、それでも案外したたかに炎を保ち、あたりを明るくあるいは暖かく照らしながら燃え続けていると。あまりにまっすぐ他の力にも屈せず、委ねず突き進んでいくのはもろいこともある。左右にぶれながらも、時には消えそうになりながらも火を保ちつつやっていることが肝心だとおっしゃって、闇のなかで揺らめく明かりの中の対話は、わが身に染み入りました。
お腹も心も満タンになって、片づけをして縁側で記念撮影をしてお開きに。するとHさん、空っぽの鍋を敲いて、皆に雲間に見える丸い月を見るようにと!ぞろぞろと庭の真ん中に移動すると、頭上に黄色い月が見えました。ホントだ!
日中の暑さは日没とともに去って、闇の向こうの森林が作ってくれた「月の時間」はこんなに冷涼。夜は避暑地健在です。帰宅したら、玄関の温度計は16℃でした。
Hさんのお話を胸に、今夜は安らかに眠れそうです。