otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

風景の向こう側

otobokecat2011-09-18

てっきり傘を持ち歩く一週間の始まりと思ったら、サプライズ!今朝の空の青さの美しさには目を疑いました。体内の何かが反応している感じです。
今パソコンの脇の北向きの窓外には、青い空と白い雲と、少し色づきかけた木々が甘い光を浴びて微動だにしないで佇んでいます。時折蝶やトンボが横切って、蝉がまだミンミンとでもかすかに遠くで鳴いて、これが絵ではないことを教えてくれます。
あと三ヶ月で確実にこの風景が大きく変わることは解りきっているけれど、今、目に見えている緑のほぼすべてが無くなってしまうなんて信じ難いです。
災害で当たり前の光景が一瞬にして変わってしまった時の衝撃は計り知れません。東北で、南紀で、確実にやってくる寒い季節を前に途方にくれておられる人がどれだけ居られるかと思うと、私は今ここで季節の移ろいにしみじみとしていていいのかと。
昨日は、軽井沢高原文庫の追分文学散歩に参加し、大藤氏の解説を聞きながら、浅間神社芭蕉の句碑から始まり、西の端の分去れまで歩きました。見慣れているはずの村中線ですが、こうやってお話を伺いながら数人でそぞろ歩くと、凡人の私にも風景の向こう側がうっすら見えてくる気がしました。
こういった何もない寒村の中で、草叢に佇んで筆を執る、本に没頭する生き方を望んだ人は少なからずいたはず。しかもそしてそれが戦争の足音がかすかに聞こえて来る時代であったら。追分を書斎に好んだ多くの文筆家が多く居たということはそういうことなのかなと思います。カラスが鳴いているのを耳にしても、都会と此処ではおそらく感じることはだいぶ違うだろうと。
そろそろ風が吹いてきました。雲が晴れて、あらまだここにも暑さが居座っていたようです。名残の暑さです。連休でいらした方に、良いお天気がプレゼントできて良かったです。
          (写真の花:アサマフウロミゾソバ

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