otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

赤銅色の月

今朝は放射冷却で相当冷えました。典型的な冬の朝です。北軽井沢のFさんは室内で花瓶の水が凍ったと愕然としていました。
真っ青な空をバックに真っ白い浅間がくっきり姿を現しました。
この分なら今夜の皆既月色は見られそうです。

完全に月食となると、昨日からの雪を被った白い地面にさっきまで降り注いでいた満月の月光がなくなり闇夜となりました。そのせいかあたりにはカサコソと生き物の気配がします。まあ、普段だったらこんな時間に屋外には出ないので、生き物の方が驚いているのかもしれません。
なにしろ零下5℃なので、玄関から2歩出て、夜空を仰ぎみては、そそくさと家の中に引っ込みを何回も繰り返して、それでも頑張って皆既月食を堪能しました。
ほぼ頭上の赤銅色の月影の下にはオリオンがくっきり。隅々まで満天の星空です。風もほとんど無く静かな天体ショーは続きます。日本全国でこの赤い月を見ている人が多くいるのでしょうね。追分は雲もほぼ無く綺麗に見えま〜す。
日付が変わる頃冴え冴えとした月光が降り注ぎ始めました。次第に地球の陰の赤みが薄れていきます。ちょっとほっとするような、でも神秘性は消えていくような・・・。
木々の葉が落ち、きゅんと済んだ空気の中だからこそこんなにもくっきりと見ることができました。体は芯から冷えて、首の後ろはくたびれたけれど。
12時半月は三日月となり、ふと見ると足元の雪の上にはくっきりと私の影が。
赤い月はもう見えなくなりました。月の光もまた太陽の光なのだと実感した夜でした。太陽光恐るべし。やはり太陽光は降り注がれるならば大いに利用しなくては!
闇世にすがりたい一筋の光線です。

暖炉―野溝七生子短篇全集
『暖炉―野溝七生子短篇全集』
野溝七生子 展望社 2002/02