otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

心に龍

年の終わりになって、これほど心が落ち着かないことも珍しいです。すっかり静かになった追分ですが、今の間にやるべきことが山積みで、大事な約束をすっぽかしたりしてしまったり・・・落ち着かないのは時間的にだけではなく、気持ちが前にも後にも行かないのです。たとえば年賀状などとても書くことができない心持です。振り返ることが怖いというか。一年前には思いもよらない年末となってしまいました。皆様はいかがおすごしでしょうか。
個人的には、公私共に変化の大きな年で、古本業をはじめたときには、おそらくこれが人生最後のもう一歩だと思っていたのに、ここでまた新たな一歩を大きく踏み出した年でした。少年Rの将来にも新たな世界が見えてきたし、実家の年とった両親もなんとか頑張ってくれましたし、佳い年だったと振り返ることができるのというのに、社会全体がこれほどダメージを受けることで、単純によかったよかったと言い切ることも、忘年会を開いてぱっと笑い飛ばすことも、未来に夢をもつことも気楽にはできない重い気持ちがしています。
先日久々に会った母親になんだか私の言動がとげとげしいわねと指摘されてしまいました。確かにそうかもしれません。
そんな中でふと一瞬、心にろうそくの灯が灯った瞬間がありました。ブータンの国王夫妻が来日された時の報道で耳にした非常に心惹かれたお言葉です。正確に記憶しているかどうかはわかりませんが、「心に龍を住まわせる」というもので、その龍は経験を食べて大きくなる。たぶんこの「経験」はいいことも悪いことも含まれるとおもいますが、辰年を迎えるにあたりこれはすばらしい考え方だなと思いました。

新聞のコラムによると過日百歳を迎えられた日野原重明先生がやはりそのことに気を留めておられるのに驚くと同時に、嬉しく思いました。
本で見つけた文章ではないので、繰り返し咀嚼することはできないけれど、ふとした瞬間耳に飛び込んできたフレーズなり、アイデイアが菌のように私の体内に取り込まれたというところです。もしかしたら私が勝手に理解してしまっているかもしれませんが。
話変りますが、外猫のくろ吉が仔猫をついに連れて来ました。麦小舎さんの言っていた通りお披露目です。4匹いたはずが二匹になっています。確かに秋子は育ちにくいようです。何の血縁も無い内猫ベルそっくりの雉トラ二匹です。そこでこの冬は追分野食堂は、いつもより大目の猫のご飯と、ひまわりの種が振舞われることとなりました。私の龍が「そうしろ」と言うものですから。いかんいかん、これは「心の龍」の悪用ですね。くろ吉の母さんぶりが立派でつい応援したくなりました。相変わらず狐君もブイブイと突撃してきます。そのうえチビたちのお父さんらしきトラ猫まで登場。急に猫密度が高くなりました。

■尊敬する三宅一生さんの特集です。付録付き!

美術手帖 2011年 12月号

美術手帖 2011年 12月号