otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

『水仙月の四日』

3月に英国を旅すると目に付くのはラッパ水仙です。水仙と言うと日本ではわりと正月のいけばなに使われたりして、初春の花と言うイメージですが、花の気配の無い信州に住んでいるうちに、むしろ水仙は春を告げる花と思うようになりました。日本ではあまり人気が無いのか、最近あまり露地で見られなくなりましたが、スノードロップ、クロッカスや水仙ムスカリのような球根花は原種ならば毎年勝手に咲くので、塀で家を囲わない欧米の郊外の庭先には野草のように自然にどこでも見られます。群生していたりするとかぐわしい香りもありそれは綺麗です。
賢治に『水仙月の四日』という話が童話集『注文の多い料理店』に入っていますが、この話だけで絵本にもなっています。岩手の賢治ですから、おそらくこの水仙月というのはきっと4月のことだなと最近思うようになりました。作中にわかに吹雪にもなるのですが、冬のそれではなく、息を詰めて少し辛抱していればやり過ごせるというあたり、真冬のことではないと思うのです。
沢山の画家が絵本にしています。見比べるのも面白いです。

水仙月の四日 (日本の童話名作選)

水仙月の四日 (日本の童話名作選)

水仙月の四日 (ミキハウスの絵本)

水仙月の四日 (ミキハウスの絵本)

水仙月の四日

水仙月の四日

水仙月の四日 (宮沢賢治絵童話集)

水仙月の四日 (宮沢賢治絵童話集)

水仙月の四日 (宮沢賢治の童話絵本)

水仙月の四日 (宮沢賢治の童話絵本)

個人的には伊勢英子さんの絵が好みです。白と赤のコントラストがドキッとするほど美しい話です。やどりぎが生の象徴として出てきます。ヤドリギを見つけて歩くのも冬ならではの楽しみです。
まだ今朝は-9℃で、氷もはりましたが、日中は10近くまで気温が上がりました。昨夕は南東に大きな真ん丸い月が出て、宇宙力のみなぎる夜でしたから、こんなに下がったのかも?
今晩は久々に零下にはならない見込みです。当店の前の坪庭にも球根の芽が顔を出しましたよ。少しずつ緩んでいる水仙月です。
山荘の玄関前に石井桃子さんの生誕100年のお祝いの会でいただいた水仙が植わっていますが、まだ姿は見えません、はたして水仙月のうちに咲くでしょうか?