otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

氷上の熱き戦い

全日本フィギュアスケート大会に、こんなに日本中の視線が集まるとは!一応スケートをかじっていた私としては、少々隔世の感があります。それもそのはず、私の知っている日本のフィギュアスケートは、何せ40年以上も前のことですから。今の日本の技術力、指導体制、選手の層の厚さ、それと選手の体型など、現代のこの状態は全く想像もしていませんでした。
特に今回の大会の完成度の高さは、凄すぎる。転ばない時代に入ってきているのですね。鈴木明子選手の演技を見て、気が付いたら涙があふれていました。たとえ後の真央さんが失敗しようと成功しようと、文句なく自分で長くつらい選手生活の最後の花道をしかも28歳という年齢で飾ることができる強さ、これぞまさしく有終の美です。素晴らしい。
もう一人かつてそれをなしえたのが、荒川静香選手でした。全くメダルの取ることができなかったトリノ五輪の最後に、メダル、それも金メダルを勝ち取ったとき、彼女が女神に見えました。それまでは全くオーラを感じることのない選手でしたが(ごめん)、あのオリンピックの大舞台で運をつかみ取ったのには「参りました!」。
満足のいく演技ができれば、それが選手にとってのメダルだと思います。
ここまで日本の男子を牽引してきた高橋選手。怪我が心配ですが、出場のチャンスがもらえた以上、前回以上のメダルの色とかそんなことは忘れて、大舞台で感動を与えられるような演技をして、彼にも有終の美を飾ってもらいたい、自分で自分にメダルをあげてほしいと思います。それができる数少ない選手だと思うから。それにジャッジもまた人間です。
ジャンプの出来がどうしても見た目を左右するのですが、実はスケーティングやエッジワーク、例えばステップにスケートの質があらわれます。高橋選手や浅田選手のそれは、やはりだいぶほかの選手と違うように思います。もうそれを示すチャンスはあまりないのならば、最後に雄姿を見せつけてほしいなと、陰から願っています。真央さんもです。
結果的に数字で評価されるとしても、タイムや距離で競うのではないスポーツには、きっと「美」があるということなのかな。トリプルアクセルにトライしても、金は取れなかった前回の五輪のことを思い出して、これにて引退をするなら、五輪の舞台で持てる力を存分に発揮できることを祈るばかりです。陰で支えている多くの人のためにも。