otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

水仙の香り

結婚してからの32年のうち、恥ずかしながら正月の準備を自らしたのはわずかその3分の一です。日本の正月準備はもちろん各家々で様々でしょうが、ともかく主婦にとって一大事であることには変わりありません。掃除に始まり、門松やしめかざり、活け花などの家の設え:室礼から、御節の用意、年賀状書きから、帰省する人の泊まる準備や挨拶に見える方の迎える支度など、主婦にとってはまさに戦場。義母が家のことを完ぺきにする人だったので、私は甘えてちょろちょろと手伝だっていればよかったのでした。
何もちゃんと引き継ぐこともなく、襷は私に回ってきてしまい、途方に暮れた年末年始となりました。こんなことならもっと真剣に聞いておくのだった。計量スプーンを使わない大雑把な嫁に呆れていた母ですから、やったとしても修業ができたとも思えませんが…。
年始を追分で迎えてから、交通のリターン渋滞が落ち着いた頃を見計らって、5日の早朝に関西へ向けて出発。Uターンラッシュのピークは前日の4日だったようで、高速道は何の問題なく、時間通り辿り着きました。
まず京都に入り、恒例の恵文社詣で。夏、油やでお世話になっている西川夫妻がこの一乗寺近くに住んでおられるので、そこを訪ね、ずうずうしくお昼をご馳走になりました。B&Bをやっているお宅の庭には、水仙がたくさん蕾を付けていて、ゆうこさんはそれを手折って持たせてくださいました。
その香りは、西宮の実家の小さな庭にも水仙が毎年生えてきて花をつけ、母はそれを家のあちらこちらに活けていたことを、思い出させました。アパート住まいの私には、庭に咲いている花を摘んで家に飾るということはあまりしたことがありません。
水仙の香りが1月の冷たい室内の空気の中に凛と香り、この家に母の気配があるようなそんな気がしました。

ゆきのうえ ゆきのした (世界傑作絵本シリーズ)

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