otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

車窓の山々

otobokecat2014-01-16

数日前のこと、東京で伯父の一周忌があり、連休の真ん中ではありましたが、真冬のことでもあり、番頭に店をお願いして日帰りで東京に行ってきました。朝8時25分のしなの鉄道で行くと、軽井沢駅で切符を買う時間がうまく取れて、10時過ぎには東京へ着けるのです。乗り継時間が8分ぐらいだと、ちょっと慌ててしまいます。この日は8:40分くらいに臨時電車があったのですが、結果的には間に合いましたが、ぎりぎりでした。
休日ということもあって、上りの電車は空いていました。空いていると電車の窓側に座ることができるのがちょっと嬉しい。お目当ては白い山です。
早速進行方向右側に座って、この日は雲一つない絶好の山見物の日でした。高崎駅付近で見える浅間山、そしてそのあとは富士山をばっちり見ることができました。なんとなくすっきりした気分になるので不思議です。

法事では母方の親戚に会いましたが、ずいぶん久しぶりで、言われなければどなたか気が付かないほどでした。40年ぶりともなると、私も先方にはそう見えたことでしょうからお互い様ですが。
昨年亡くなった伯父は、4年前の夏、本屋に来てくださいましたが、あれほど本が好きな伯父があまり本に興味をもおたなかったのが意外でしたが、聞くとあの旅行が伯父の最後の旅行であったと聞いて、なんとなく腑に落ちました。伯父がどうしてもタバコを吸いたいというので、本来禁煙の店内ですが、特別に窓際に座わってもらい、青春時代親しんだ追分の景色を見ながら美味そうに一服していた姿が印象的でした。
若き日に軽井沢で(皇太子だった)天皇陛下とテニスをしたこともあったハイカラな紳士で、また学者で本だらけの家に住んでいた伯父だったのですが。追分に本屋ができたことを喜んでくださった人がまた一人いなくなりました。

東京では、久々に山手線や地下鉄をあれこれと乗継ぎして移動しました。普段いかない場所にいくと、出口案内などの地図をしげしげとみてから、頭上の番号を探しながら歩き、階段やエスカレーターをいくつも乗り継ぎ目的に辿り着くという作業は結構疲れました。
今の地元には地下鉄がないのです。もともと方向音痴なのに地下に入るとますますよくわからなくなります。都会の真ん中の地面の下で災害にあったら、私はどうなってしまうんだろうと思うと不安になり、そそくさと山に逃げ帰りました。モグラの逆で、日の光を浴びていないと不安です。
何かのコメディーで、アメリカ中西部出身の兵士が階段の使い方がわからず、広い土地があって平屋しかないところに住む人は困るねという笑い話がありましたが、次第にわが身がその哀れな兵士に近くなっていくような…。この兵士も地下への階段は降りることができなかったであろうなと。ましてやエスカレーターなど。

帰りは右側に座っていたので窓の外はあまり見ていなかったのですが、パシャリという携帯電話の写真を撮る気配がして、音の方をみるとその向こうにビルの谷間、茜色の空に富士山のシルエットがくっきりと見えていました。山を見るとホッとする人は私だけではなかったのですね。