otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

◆四角な世界に魅せられて

空の顔色をみては、時には引きこもりとなることもある日々の中で、私の気分発散はもっぱら栞(しおり)制作です。

栞はたかが本にはさむ小さい紙切れではありますが、私にとってはいまや案外大事な存在です。
通販発送の際の古本屋のちいさな自己主張、カウンターでのお客様とのコミュニケーションツール、はたまた年老いた父のリハビリのためなど、紙片が負っている任務はかなりのものです。まあそのように私が強いているわけですが。

こんな大事な栞ではありますが、重要任務というより、私自身はこの制作を何より「楽しみ」にしているのです。

ここに古切手を利用するということが最大のポイントです。
古本を市場で仕入れる際に出逢った切手帖が、その発端でした。
今はどうなんだろう?でもかつて切手蒐集をしている人は結構いました。グラシン紙で作られた切手帖に集められた切手たち。
本当の切手マニアは、シートで発売日に購入しておられたのでしょうが、一般庶民の方はも少しつつましく、サイズが大きく豪華な印刷の記念切手を一枚ずつ、その紙の段々の中にしまって、時折眺めるといったささやかな楽しみがありました。

私が出会った切手帖はかなり古びて痛んでいましたが、中には未使用の切手とともに、使用済みの切手も台紙ごとに綺麗に切って収められていました。日本の切手のほかにも外国の切手もありました。一枚ずつセロファンで包んであるものもありました。
日本の切手の古さから、私よりも年齢が上の方のものであることが察しられました。
おそらく、この切手帖は書架のなかで本と本にはさまれていて、書架の本を処分する際に本とともに市場に入ってきたのでしょう。

切手入りのを作り始めたのは、それまで義父と共同で作っていた写真の栞制作が、義父の死によって不可能になり、今度は実父の手を借りて栞を作ろうと思い、パソコンをしない父のために考案してからです。
マスキングテープや、雑誌のスクラップ片や、スタンプ、シールなどのガラクタはたんまり持ち合わせています。

台紙がついた使用済みの切手を恐る恐るぬるま湯に浸してしばらく置くと、糊が緩んで、するっと切手が台紙から外れます。これはどんなに古びていても、外国ものもでもまず例外なく紙をきれいに外すことができました。ちょっと感激ものです。
外した濡れた切手をクリアファイルのようなプラスティックにはり、乾かして外すと、消印はあっても綺麗な切手が出来上がります。
当たり前ですが、水につけても印刷はびくともしない、消印もです。紙も全くへこたれません。融けないのです。
もっとも、ここまで剥離して再び使うという私のような変人は世の中に少ないでしょうが、とにかく切手の紙のたくましさには目を見張ります。
紙の厚さや印刷方法に若干違いが見られますが、切手の強靭さは世界共通です。

切手帖の切手や、我が家に来る封書についている切手を使いつくし、切手を寄付してくださる方などもあり、今まで数えていたわけではないけれど、台紙を購入したことから推測するに、作った栞は1万枚を超えていると思います。
最近は古切手を業者さんから仕入れています。国別や種類別に販売しているものを手に入れると、まずはその切手鑑賞をして、大きさや色でざっと分類するのですが、この作業が実は楽しいのです。お国柄なども見えてきます。これについて書き始めるときりがないので、その中で一つだけ取り上げてみたいと思います。
それが切手の形です。でも今日はここまで。

朝は冷え込んでいましたが、今日は極上の晴天、このぶんだと気温も上昇しそう。
週末にまた傘のマークも見えますので、この晴れは有効活用せねば。パソコンに向かっている場合ではないようです。

続く

ついに店の駐車場に車が入るようになりました。ほー。
増補新版 切手帖とピンセット: 1960年代グラフィック切手蒐集の楽しみ