空に近い場所
年始は初詣にも出ず、家族でテレビの前に座っていることも多かったですが、今年はサッカー天皇杯や大学駅伝などとともに、新海誠さんの映画「君の名は。」が印象的でした。新海監督が長野県しかも佐久の出身ということで、いつか見てみたいと思っていたのです。
急に興味を持って、早速小説や特集したユリイカ、美術作品集を手に入れてみました。
すべての作品に広がる空と雲とその先にある宇宙。その描写が恐ろしく美しい。
それを見ているうちに、すとんと腑に落ちる気がしました。まさに今の私が日々そうであるように、おそらく新海監督も空を見て生きていた時代があったのだろうと。
海からもっとも遠い佐久。しかも標高もあって、むしろ宇宙に近いという場所です。
林や森や、山が迫ってくるとどうしても視線は空へ向かうのです。
『空の記憶』という横長の作品集に、地元の電車の車窓からの風景が好きだと書いてありました。
空に近い場所に住んでいたという影響が随所に見てとれます。
圧倒的に自然が強い場所だと、人工的なものの存在がたとえどんなものでも活きてくるように思います。
電柱やアスファルトの道路、自転車、バス停、走っていく車、ベンチ…とかね。
インタビュー記事の中で興味深く読んだのは、都会と違って山間地域では、太陽が眩しいうちに沈んでしまうというくだり。なるほど!このあたりでは太陽が林の向こうに消えてしまっても、空はしばらく薄暗い状態で、すぐに夕闇は迫ってきません。確かに夕方と夜の間のようなあいまいな群青の時間があります。
そんなこと考えもしなかったです。「たそがれ:黄昏」時は「かたわれ」時。
空の占める割合が広いところに活きていた人なんだなと、勝手に理解しました。
年の初めにいい出会いがあったなと思いました。