otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

4月4日は苦手だ。

otobokecat2007-04-04

昭和44年4月4日涙の宇高連絡船で四国高松を離れてからというもの、4月4日は私にとってどうも苦手な日付となった。本四架橋が何本もできて、電車にのったまま瀬戸内海を渡ることができる世となり、連絡船で蛍の光が流れて紙テープを投げて別れを惜しむなんていうことは、今の若い人にはピンと来ないかもしれない。なにしろ電車とちがい、船はゆっくり岸を離れるので、見送りに来ている人との別れはじっくり長く、つらい。私は泣きじゃくりすぎて、恥ずかしさのあまりしゃがみこんでしまったことを覚えている。
親の転勤により6年住んだ香川県から、東京へ引っ越すことになった小学6年生の春のことであった。

さて、現実問題としては、私は今虫かごのなかのキリギリスの気分である。アパートがすっぽりと網で覆われ、足場が張り巡らせられ、普段ではありえないところに工事の人がヘルメットに雨合羽を着込んだすごいいでたちで歩いているので、カーテンも開けられない。昨日今日は、ジェット噴射のような音で水が吹き付けられ、清掃中とあって、玄関のドアも辺りをうかがいつつ開ける始末。洗濯物も外に干せず、カーテンレールにハンガーが掛かっている。夕方、工事の人が帰るとほっとしている有様。なんだか悪いことをしてこそこそ生きているという状態なのだ。

昨日までは雨だったからまだ良いが、綺麗に晴れても窓も開けられない。いやはやとんだ「隠遁の春」である。イベントに向けてチラシの原稿製作、お客様の買取本の目録つくりなど、家内作業にいそしむことに。ベルのように夜行性になりそう。
そのベルも、網や鉄棒がそこここにあり、いつものルートの行く手が阻まれ、思うように行かないらしく、昨日もなかなか帰宅できなかった。「貯水タンクから、二回手すりへジャンプ」とか「フェンスから二階ベランダへジャンプ」といった妙技ができないわけだ。
玄関から出て玄関から戻るという人間化が求められている。
にゃんとも迷惑な工事であるが、今まで手付かずだったベランダと玄関脇の片づけが一気に進んだことは、不幸中の幸い?